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涼香の部屋にて 18

 ある日のこと。


 涼香りょうかのベッドに入ってきた涼音すずねが、涼香の隣で寝そべりながら言う。


「せんぱーい。マッサージしてくださいよう」


 ゴロン、ゴロンと、隣にいる虚無の表情の涼香にタックルをする。


「………………………………………………………………」

「えぇ……」


 へんじがない。ただのしかばねなのか?


「ねーえ。せーんーぱーいー」


 涼音は涼香を揺すってみるが、涼香は全く反応を返さない。


「もう……」


 口を尖らせた涼音は涼香の脇腹を容赦なく触る――というか鷲掴む。


「うひゃいっ」


 ビクンと涼香の身体が跳ねる。


 今まで虚無だった涼香の顔に表情が戻っていた。


「全くもう、早くマッサージしてくださいよ」

「待ちなさい、いったいどういうことなの? 私はいったい、なにをしていたの……?」

「知りませんよ。それよりはーやーくー。マッサージしてくださーい」


 なぜか戸惑っている涼香のことなどどうでもよかった。涼音は早くマッサージをしてほしかったのだ。


「仕方ないわね」


 肩をすくめた涼香は、早速涼音の上に跨るのであった。

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