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放課後にて 11

 ある日のこと。


「すっずねーはすっずねーはかっわいい~」

「なに言ってるんですか……」


 隣の席で謎の歌を歌っている涼香りょうか


 七月と言えば期末テストだ。


 涼香と涼音すずねは、放課後の教室に残ってテスト勉強をしていた。


「事実を言っているのよ。もはやこれは歴史ね」

「意味分からないですし先輩歴史を選択してませんよね?」

「そんなことはどうでもいいのよ。勉強をしなさい」

「先輩に言われたくないんですけど……」


 そう言うと涼音は黙ってノートと教科書に向き直る。


 その様子を見て口を尖らせた涼香が、黙々と勉強をしている涼音のおさげに手を伸ばす。


「もうっ、なんですかさっきから」


 さっきから涼香は、勉強しろと言うのに勉強の邪魔をしてくる。涼音は涼香の手を払いながら文句を言う。


「勉強しろって言うくせしてなんで邪魔してくるんですか!」

「勉強ばっかりしているからよ!」

「えぇ……」


 要するに涼香はかまってほしいのだ。涼香検定準一級の涼音にとってはこれぐらい見抜くのは朝飯前だ。


 だから涼音は、涼香を無視して勉強に戻るのだった。


「涼音の意地悪!」

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