ある日のこと。
「すっずねーはすっずねーはかっわいい~」
「なに言ってるんですか……」
隣の席で謎の歌を歌っている
七月と言えば期末テストだ。
涼香と
「事実を言っているのよ。もはやこれは歴史ね」
「意味分からないですし先輩歴史を選択してませんよね?」
「そんなことはどうでもいいのよ。勉強をしなさい」
「先輩に言われたくないんですけど……」
そう言うと涼音は黙ってノートと教科書に向き直る。
その様子を見て口を尖らせた涼香が、黙々と勉強をしている涼音のおさげに手を伸ばす。
「もうっ、なんですかさっきから」
さっきから涼香は、勉強しろと言うのに勉強の邪魔をしてくる。涼音は涼香の手を払いながら文句を言う。
「勉強しろって言うくせしてなんで邪魔してくるんですか!」
「勉強ばっかりしているからよ!」
「えぇ……」
要するに涼香はかまってほしいのだ。涼香検定準一級の涼音にとってはこれぐらい見抜くのは朝飯前だ。
だから涼音は、涼香を無視して勉強に戻るのだった。
「涼音の意地悪!」