「
「なるほど。これは夢ね」
ある日の夢の中。涼香は
涼香はくっついてくる涼音の頭を優しく撫でながら目を閉じる。
夢の中にもかかわらず、涼香は眠ろうとしていた。
「もっとぎゅーってして……?」
だって甘えてくる涼音と寝られるんだもん。
「やっぱり夢の中の涼音からしか得られない栄養素があるわね」
言われた通りに涼音を抱きしめる涼香。夢の中でも涼音と過ごせるなんて、これ以上幸せなことはあるのか? いや、無い。
それに明日は日曜日、アラームで起こされることはない。この
今すぐ高笑いしてしまいそうになるが、涼音を起こしてはいけない。
だけどどうしても笑いたくなる。だって圧勝だもん。だから涼香はくつくつと、悪者っぽく笑うことにした。
しかしこれが命取りとなった。悪は滅ぼされるのが常である。
突如涼香と涼音を巨大な地震が襲う。なにが起こったのか理解した涼香は目を瞑って現実逃避をしようとする。身体に感じる涼音の温もりはそのままに――。
「先輩暑いですって!」
「どうして起こすのよー!」
夢の中で涼香を襲った揺れは、今現在涼香の抱擁から抜け出そうとして暴れている涼音によるものだったらしい。
泣く泣く涼音を解放した涼香、やっと抜け出せた涼音は暑そうに顔に手で風を送っている。
「いくら冷房つけてるからって、あまりくっつかないでくださいよ」
「まさか夢と現実がここまでリンクしているとは思わなかったのよ」
「なに言ってるんですか? 夢とリンク?」
「こうなったのは夢の中の涼音が悪いのよ」
「えぇ……、あたしはなにをしたんですか……」
「それは秘密よ」
立てた人差し指を口に当てた涼香は綺麗にウインクをする。
カーテンの隙間からはまだ日は差していない。涼香は再び布団に潜る。
それを見た涼音は、ほっぺたを膨らますのであった。