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家庭科室にて 8

「そういえば――」


 家庭科室にいる菜々美ななみとここねに会いに来ている涼香りょうか涼音すずね


 ちなみにここねは、トイレに行くと言って席を外していた。


「この前、ここねがマドレーヌ作ってくれたのよ。それがすっっっごく美味しかったのよ!」


 そんな中、菜々美は正面に座る涼香と涼音にのろけていた。


「そうね、美味しかったわ」


 口元にマドレーヌの欠片が付いている涼香が頷く。


「なに言ってるのよ。涼香は食べていないじゃない……の……?」


 それに気づいた菜々美は、言葉を止める。


「え?」

「美味しかったわよ」

「え……?」

「ここねがくれたのよ」

「……え?」


 涼香の言葉を理解したくない菜々美だったが、涼音がマドレーヌが一つ乗ったお皿をどこからか取り出したのを見て、いよいよ理解するしかなかった。


「ここね……」


 穏やかに流れる川を作った菜々美は、残り一つのマドレーヌを食べる。


「おいじぃ……」

「なんか……すみません」


 とりあえず謝っておく涼音であった。

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