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第6話 「整理と決意」

* * *


 「……はぁっ……」


 膝に手をつき、荒い息を吐く。


 意識が戻った今でも、まだ幻覚の余韻が残っているような気がした。


 「……今の、試練だったんだよね?」


 手の中にある巻物を見つめる。


 それは、確かにこの試練を乗り越えた証。


 けれど―― これが何なのか、まだ分からない。


 慎重に、ゆっくりとそれを開くと、中には 古びた文字 が記されていた。


 『五つの神器を集めし時、夜刀神の封印解かれん』


 「やっぱり……神器を全部集めないと、ヤトを助けられないんだ」


 改めて、覚悟を決める。


 「……絶対、ヤトを助ける」


* * *


 「……ふぅ」


 夜刀神社での試練を終え、ようやく自宅に帰ってきた。


 私は玄関で靴を脱ぎ、ぐったりとリビングのソファに倒れ込む。


 ――今日は、本当にいろいろなことがあった。


 まさか 「神器を集めなければヤトを助けられない」 なんて。

 しかも、そのためには 四神を祀る神社を巡らなきゃいけない なんて。


 「……夢でも見てるみたい」


 私はぼんやりと天井を見上げる。


 けれど、手元にある巻物が現実だということを否応なく突きつけてくる。


 「……とりあえず、整理しよう」


 私は体を起こし、テーブルの上に 巻物 と 夜刀神社で見た地図のメモ を広げた。


* * *


 現状の整理

①ヤトを助けるには、封印を解かなきゃいけない

②封印を解くには、五つの神器が必要

③神器は、四神を祀る神社(暁ノ宮・蒼龍・白嶺・黒耀)にある


* * *


 「……よし、まとまった」


 頭の中が整理されると、少しだけ気持ちが落ち着いてくる。


 ただ――問題は、これからどう動くかだ。


 「どの神社から行けばいいんだろう?」


 地図を見つめながら、私は悩んだ。

 四つの神社はそれぞれ違う場所に点在している。


 「……やっぱり、手がかりがないと難しいかも」


 私はスマホを手に取り、検索をかける。

 けれど、どの神社も「神話の一部」としての記録しか残っておらず、具体的な "神器" に関する情報は一切ない。


 「やっぱり、誰かに聞かないと……」


 そう思ったとき、ふと 図書館の司書のおじさん のことが脳裏に浮かんだ。

 彼はこの地方の 伝承や神話に詳しい みたいだったし、何か知っているかもしれない。


 「……明日、図書館に行ってみよう」


 行動の方向性が決まり、少しホッとする。


* * *


 時計を見ると、もう夜の8時を回っていた。

 考えすぎて、お腹もぺこぺこだ。


 「お風呂入って、ご飯食べよ……」


 私は立ち上がり、ゆっくりとバスルームへ向かった。


 湯船に浸かりながら、ぼんやりと天井を眺める。


 (……ヤト、今どんな気持ちなんだろう)


 私はずっと、ヤトとの約束を忘れていた。


 でも、彼は封印されたまま、ずっと待ち続けていたのだ。


 「……絶対、助けるからね」


 小さく呟いて、私は目を閉じた。


* * *


 お風呂から上がると、簡単な夕食を済ませ、ベッドに横になる。


 スマホで「夜刀神」についてもう一度調べてみるけど、結局、有力な情報は見つからなかった。


 「やっぱり、明日司書さんに聞いてみるしかないな……」


 そう思いながら、スマホを閉じる。


 気づけば、まぶたが重くなっていた。


 「……明日は、図書館に行く……」


 そう呟いて、私は眠りについた。


* * *


――第6話・完――



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