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第14話 「成長の兆し!? 四神の卵とヤトの変化」

* * *


 朝――。


 眩しい朝日が鳥居の隙間から差し込み、心地よい光で目を覚ました。


「ん……」


 まどろみの中で、私は無意識に腕を伸ばす。


 (あれ……?)


 目を開けると、目の前には金色の髪の少年――ヤトがいた。


 「……すぅ、すぅ……」


 ヤトは私の腕の中でぐっすり眠っている。

 あんなに甘えてぎゅっとしていたのに、今はすっかり安心しきった顔をしてる。


 (本当に、昔と変わらないなぁ……)


 そう思いながら、私はヤトの髪をそっと撫でた。


 すると――


 (……あれ?)


 なんだか、昨日よりもヤトの体がしっかりしてる気がする。


 (え、ヤトって……こんなに大きかったっけ?)


 寝る前よりも、身長が少し伸びたような気がするのだ。

 気のせいかと思い、そっと布団を抜け出して立ち上がる。


 その瞬間――


「……んん……ゆず?」


 ヤトもゆっくりと目を覚ました。


「おはよう、ヤト」


「ん……おはよ……」


 寝ぼけたまま、ヤトは体を起こした。


 すると、私の目線と……ほぼ同じ高さになった。


「……え?」


 思わず二度見する。


 昨日まで、ヤトは私の胸ぐらいの身長だったはず。

 なのに、今はほぼ肩まで伸びている!?


「……ヤト、ちょっと待って!」


 私は慌ててヤトの肩を掴んで、じっくりと見つめた。


「え、なに? どうしたの?」


「ヤト……なんか、ちょっと身長伸びてない!?」


「え?」


 ヤトはポカンとした顔で自分の体を見下ろし、伸ばした腕をじっと見つめた。


「……ほんとだ!? ボク、大きくなってる!?」


 ヤト自身も驚いた様子で、ぴょんぴょんと跳ねてみる。


「え、なんで!? こんなことってあるの!?」


「え、えっと……」


 私も混乱しながら、昨日のことを思い返す。


 夜刀神の封印は、"力を取り戻せば" 解けるかもしれない。


 ヤトは今、神社の結界の中にいる。

 そして、私は昨日から彼と一緒に過ごし、朱雀の卵という「神聖な存在」を育て始めた。


 (もしかして……四神の卵の影響? それとも、私がここにいること?)


 考えていると、ヤトが無邪気に腕をぐるぐる回しながら言った。


「ボク、ちょっと強くなった気がする!」


「え、そうなの?」


「うん! なんか、体が軽い! それに、前よりも動きやすいよ!」


 ヤトは軽く跳ねながら、満面の笑みを浮かべた。


「ねえねえ、ゆず! これって、ボクの封印が少しずつ解けてるってことなのかな?」


「うーん……そうかもしれないけど、確かめるにはまだ早いかも」


「そっかぁ……でも、嬉しいな!」


 ヤトは笑顔のまま、朱雀の卵をそっと撫でた。


「これも、この子のおかげなのかな?」


「……かもね」


 四神の卵は、ほんのりと温かくなっている気がする。


 まるで、ヤトと私を見守るように――。


 (もしかして、卵も何かを感じ取ってるのかな)


 そう思った時、ヤトがふっと顔を寄せてきた。


「ねえ、ゆず!」


「ん?」


「今日もぎゅってして寝ていい?」


「え、また?」


「だって、昨日すっごく気持ちよかったんだもん!」


「……もう、仕方ないなぁ」


 私はヤトの頭をぽんぽんと撫でると、彼は満足そうに笑った。


「よし! 今日からもっと頑張るぞー!」


 ヤトはぐっと拳を握る。


 こうして、私たちの四神育成生活は本格的にスタートしたのだった――。


* * *


――第14話・完――


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