まきゅぅ……ついやってしまいました。キ…ス…キスを想いと愛が溢れすぎて…止まらなくなってしまって……
「まきゅぅぅぅ」
ああ、恥ずかしい恥ずかしい…でも……悔いなしです。
「真絹ちゃんもう大丈夫なの?」
「はい、大丈夫です。ご心配おかけしました」
心停止をしてしまった私はその後、詠史さんの心肺蘇生法と初川城にて行われた夢邦ちゃんの処置によって一命を取り留めたのですが、今はベッドで休んでいます。
「にしてもどうして心停止なんかしたのよ?詠史の奴になんかされたの?」
「されてません……と言うか逆に私の方からやっちゃったと言いますか」
ああんっ、唇を動かすだけで否が応でも詠史さんの感触が生々しく浮かび上がってきます…ほんのちょっとの間重ね合わせただけなのに……だけなのに……
「まきゅぅぅぅぅ」
「わーっ!!!また真絹ちゃんの白い肌が真っ赤かに!!!夢邦冷えピタちゃんを!!」
「そんなもん気休めにもなりゃしないわよ」
「じゃ、じゃあ冷たい言葉を!!!」
「落ち着きなさいお姉ちゃん、もっと意味ないわよ。
さて、なんというか……話は聞いたことがあるけれど………まさか本当にこうなるとはね。流石のあたしも驚きに満ちているわ」
「?」
夢邦ちゃんの言葉に水菜乃と琴流ちゃんが同時に首をかしげました(なお、詠史さんを含む他の三人は別室で待機しています)
「バーバ、つまり叔母さんのお母さんも最初はそうだったらしいわ。ジージは大慌てしたそうよ」
「夢邦?どういうこと?話が全く見えないんだけど」
「そうよ」
ははは、もう全てを察しているみたいですね……脱帽です。おまけにどうやら気を使っているみたいですね…本当にできた姪っ子です。
私は問題ないことを示すようにこくりと頷きました。
「叔母さんは詠史とキスしたのよ。で、間抜けなことに心停止を起こすまでドキドキしたってわけ」
「!!!!???」
「えっ??ついに???ついにヤッたの!!??」
水菜乃が私に身を乗り出しながら聞いてきたので私は深く頷きました。
「私の重い部分を受け入れてくださって……好きでいていいって言ってくださって……我慢が出来なくなってつい……」
「わ~~~~!!!やったわね!!!!」
「真絹ちゃん…凄い」
「えへへ…ありがとうございます」
「それで?詠史の奴はどんな反応だったの!!??」
「いえ、それが…何せすぐに気を失って心停止してしまったので詠史さんがどんな反応されたかは……全然」
なんか急に不安になってきました。突然キスをさせて不快な思いをさせてしまったかも…ああ、どうしましょう………胸を切り落としてプレゼントすれば許していただけるでしょうか………いえいえいえ、詠史さんに助けてもらった身体をそんな風に乱暴に扱ってはいけません。
「安心なさい叔母さん」
「夢邦ちゃん?」
「なんであたしが見てもいないのにキスをしたか分かったのかなんだけど。さっき詠史の奴を見たのよ」
頬杖をして可愛い顔を悪戯っぽく動かしました。
「唇に手を当てながら照れくさそうな顔していた詠史をね」
「まきゅっ!?」
「それに、あいつ叔母さんに心肺蘇生法を施したんでしょ。きっと胸を押して、人工呼吸もしたんじゃないかしら?」
「まきゅきゅぅぅ!!??」
い……言われてみれば………言われてみれば………えっ………と言うことは………ひょっとして………
「おっぱい揉まれた?」
「仮にそうだとしても人命救助だからノーカンだけどね……ま、何を言いたいかと言えば詠史は叔母さんの唇に悪い気はしていないってことよ。
水菜乃も頑張りなさい」
「えっ?何急に?そんなの知らないよ夢邦ちゃん」
「頑張りなさいは頑張りなさいってことよ」
琴流ちゃんが顔の前で小さく拳を握り締めていました。
「よ、よーし………私も……頑張って………キスを「お姉ちゃんは頑張らないくていいわ」なんで!!??」
「なんで何もないわ。気に食わないからお姉ちゃんは頑張らなくていいのよ」
「ちょっ、双子でしょ!!縁和くんとのことを応援してよ!!」
「しない。絶対にしてやるもんですか。あの野郎、今度しめてやるわ」
「やめて!!!」
微笑ましいやり取りを見ながら私の胸はまたときめいていきました。これまでの私は地球よりも重い愛を詠史さんに抱いていた自負があります……でも………今の私は………この気持ちは
「詠史さんの愛が今までよりももっと健全的になった気がします」
「頑張れって……夢邦ちゃんったら……頑張れってあたしは一体誰と頑張れって言うのよ……別に素鳥のやつのことなんてマジでまだまだなんとも思ってないし……」
「夢邦!!私の恋を応援してよぉぉ」
「嫌よ。認めてやるもんですか」
こうして新たな恋と、これまでの恋を深化させた私たちの初川島での冒険は終わりした。
ただ、私たちの夏はまだまだ終わっていません。人生はまだまだここからです!!
私たちの健全的な恋愛はまだまだ続くんです!!!!
「最終回みたいなノリをださないでくれないかしら叔母さん」
夢邦ちゃんのツッコミと共に日常回に戻ります。