「ねえねえ翔くん。セイ様っていつもああなの?」
「ん? なにが?」
カイが聞きたいことはわかっているが、すっとぼけてみる。
「さっきサンダル履かせてくれてたじゃん」
「あー、いつもそうだよ」
さっきのカイの呟きまで気が付かなかった。あの体勢で靴履かせてもらうとかシンデレラじゃん。
カイはふーんと何度か頷いた後、座っていた席に戻った。
◇
撮影が終わり、一旦休憩。
「かけるん〜、飲み物買いに行こ」
「おう、買って」
「えぇ、俺後輩やのに……」
「うそうそ。俺が買うよ」
「やったぁ〜、カイも行く?」
「えっ、いいの?」
「いいよ、行こ」
他にも飲み物買うやつはいたけど、それぞれ買いに行っていた。
指差されたものを買ってあげ、さっきの部屋に戻ると、打ち合わせ用に机が追加されていた。
「とりあえず全員集まったから、打ち合わせの資料配るね」
打ち合わせはスムーズに進み、内容に問題もなかったが、俺にとっての問題は発生していた。
「……」
「……」
聖とめっちゃ目が合うんだけど。なに? 俺の顔に何かついてる?
気になって、口パクで「なに」と言ったが、はにかむだけで答えない。そのあともジーッと見つめられた。
「……」
まじでなんだよ。これもアピール?
◇
「じゃ、今日はこれで終わり」
打ち合わせの後、机と椅子を元に戻し、各々帰宅の準備をする。
「あ、宮ちゃん帰りどうする? 乗ってく?」
「あー……大丈夫! ありがとうリヒト」
リヒトの元へ、カイと燈二が向かった。
「翔はタクシー?」
「おう」
「一緒に帰ってもいいかな?」
「お、おう」
気まずい。いや、一緒に帰るなら、さっきめっちゃ目があってたのなんだったのか聞くか。
タクシー拾う前にコンビニに寄ることにしたので、近くのコンビニまで歩く。
「あきらぁ?」
「なに?」
「さっきの打ち合わせでさ」
「うん」
「その……俺のこと見てた?」
「うん」
「……集中できなかったからやめてくれる?」
傷つけちゃったかな……
いやでも、俺はもともとこんな感じだしな。
「え? 集中できなかったの?」
「うん、気になって」
「ふーん……」
え? 何その感じ。
「翔さ」
「えっ、なに?」
「かわいい自覚ある?」
「はぁ⁉︎」
「あざといというか、思わせぶりというか」
「なんでそうなるんだよ!」
「いや、なんでもない」
なんでもなくないだろ。最後まで言わないで気持ち悪りぃな。
「ちなみに俺が翔を見てるのは今日だけじゃないよ?」
「え?」
コンビニに入るタイミングで言われてしまったので、周りの目を気にしてしまって、その後いろいろ聞き出せなくなってしまった。
「何買うの?」
「んー……夜ご飯とお菓子」
「ご飯作りに行こうか?」
「さすがに申し訳ないからいい」
「そう?」