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第4話 小野寺side

「ねえねえ翔くん。セイ様っていつもああなの?」

「ん? なにが?」

 カイが聞きたいことはわかっているが、すっとぼけてみる。

「さっきサンダル履かせてくれてたじゃん」

「あー、いつもそうだよ」

 さっきのカイの呟きまで気が付かなかった。あの体勢で靴履かせてもらうとかシンデレラじゃん。

 カイはふーんと何度か頷いた後、座っていた席に戻った。


 ◇

撮影が終わり、一旦休憩。

「かけるん〜、飲み物買いに行こ」

「おう、買って」

「えぇ、俺後輩やのに……」

「うそうそ。俺が買うよ」

「やったぁ〜、カイも行く?」

「えっ、いいの?」

「いいよ、行こ」

 他にも飲み物買うやつはいたけど、それぞれ買いに行っていた。

 指差されたものを買ってあげ、さっきの部屋に戻ると、打ち合わせ用に机が追加されていた。

「とりあえず全員集まったから、打ち合わせの資料配るね」

 打ち合わせはスムーズに進み、内容に問題もなかったが、俺にとっての問題は発生していた。

「……」

「……」

 聖とめっちゃ目が合うんだけど。なに? 俺の顔に何かついてる?

 気になって、口パクで「なに」と言ったが、はにかむだけで答えない。そのあともジーッと見つめられた。

「……」

 まじでなんだよ。これもアピール?


 ◇

「じゃ、今日はこれで終わり」

 打ち合わせの後、机と椅子を元に戻し、各々帰宅の準備をする。

「あ、宮ちゃん帰りどうする? 乗ってく?」

「あー……大丈夫! ありがとうリヒト」

 リヒトの元へ、カイと燈二が向かった。

「翔はタクシー?」

「おう」

「一緒に帰ってもいいかな?」

「お、おう」

 気まずい。いや、一緒に帰るなら、さっきめっちゃ目があってたのなんだったのか聞くか。

 タクシー拾う前にコンビニに寄ることにしたので、近くのコンビニまで歩く。

「あきらぁ?」

「なに?」

「さっきの打ち合わせでさ」

「うん」

「その……俺のこと見てた?」

「うん」

「……集中できなかったからやめてくれる?」

 傷つけちゃったかな……

 いやでも、俺はもともとこんな感じだしな。

「え? 集中できなかったの?」

「うん、気になって」

「ふーん……」

 え? 何その感じ。

「翔さ」

「えっ、なに?」

「かわいい自覚ある?」

「はぁ⁉︎」

「あざといというか、思わせぶりというか」

「なんでそうなるんだよ!」

「いや、なんでもない」

 なんでもなくないだろ。最後まで言わないで気持ち悪りぃな。

「ちなみに俺が翔を見てるのは今日だけじゃないよ?」

「え?」

 コンビニに入るタイミングで言われてしまったので、周りの目を気にしてしまって、その後いろいろ聞き出せなくなってしまった。

「何買うの?」

「んー……夜ご飯とお菓子」

「ご飯作りに行こうか?」

「さすがに申し訳ないからいい」

「そう?」

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