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気づき

第11話 小野寺side

 撮影が終わって、聖は燈二とご飯行くって行ってしまった。

 俺は⁉︎ ねぇ! 俺はいいの⁉︎

 いや、俺は? じゃねーよ。あいつが勝手に俺のことを好きなだけじゃん。なにムキになってんだ俺。

「翔くーん」

「あんだよ」

「ひぇ、怒ってるの? あ、セイ様か〜」

「はぁ⁉︎ ばかじゃねーの?」

 なんだよカイのやつ。なんでわかんだよ。

「関係ねぇし。楽しそうに燈二と二人でご飯行くとか、どうでもいいし」

「どうでもいいわりによく見てるじゃん」

 話を聞いていたようでナチュラルにリヒトが参加してきた。

「なにー? やきもち? まって、ジャスティスなんだけど」

 あーもうほんとやだ! 勝手に話広げんなよ!

 帰り送りますよとマネージャーが俺たちを乗せて車を走らせている。逃げたいのに逃げ場がない。寝ると言っても話しかけてくる奴らだし、特にカイは俺と聖の関係性? が正義とかなんとか言いながら目をキラキラさせてくる。

「やっと? ねぇやっとくっついたの?」

「くっついてねーし、やっとってなんだよ」

「だって宮ちゃん、前から翔のこと好きじゃん」

「は?」

「いやいや、翔くんは鈍感だから気づかないよ」

 みんなして好き勝手言いやがって。なんでみんな知ってんだよ。

「マネさん、ちょっとこのままご飯食べに行ってもいーい? 送ってもらってもいーい?」

 しれっと毒を吐くカイは俺が睨みつけていても気にせずにそんな提案をする。

 みんな賛成してるし、マネージャーも「どこにする? この時間ならまだ個室とか空いてそうだよね〜」となんか乗り気。なんなら店に電話かけようとしてる。

「じゃあ翔くん、話してもらおうかな」

「は? なにを?」

「絶対セイ様となんかあったって。なんか最近、翔の感じ変わったなーって思わない?」

「なんもわからずツンケンしてんじゃん」

「セイ様の時だけ違うんだよ!」

 カイ。お前呆れるほどセイショウ推しじゃん。どんだけ見てんだよ。この前のサンダルの件といい、この発言といい…

 ちなみにファンからはあきらかけるの音読みで、セイショウというコンビ名がついている。

「やたらと素直なんだよ! しかも赤くなる!」

「お前だまれよ、なってねーし」

「俺さっきの撮影でずっと見てたんd」

 カイの興奮を抑えるために、口に手を押し付けて喋らせないようにした。

「んー! んんん!」

「実は俺たち宮ちゃんが翔のこと好きなんじゃないかなー? くらいはわかってたよ」

「えぇっ⁉︎ なんで?」

「いや、だいぶあからさまに好き好きオーラ出てるじゃん」

 驚いてカイの口から手を離してしまったが、特に騒ぐことはなかった。呼吸を整えた後、落ち着いた口調で話し始める。

「燈二くんも気づいてて、セイ様がご飯誘ったんじゃないかな?」

 そういうこと? 俺の話?

 なんか燈二のこと気に入ってる感じだもんな。

「なんでそんなにムッとしてんの」

「聖、燈二のこと気に入ってそうじゃん」

「ぐはっ……」

「わお、カイの言うとおり、めっちゃ素直」

 いつの間にか店の前に着いていたが、カイは正義とやらのせいでどこか遠くにトリップしてしまったようだった。

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