リヒトから翔がお酒を飲んで寝てしまったという連絡が来た。
ベッドに入って、半分寝てたけど、そんなのどうでもよかった俺は、すぐにタクシーを呼んだ。
リヒトから店の地図が送られてきて、急いでそこに向かうと、机に突っ伏した翔と、楽しそうな二人がいた。
「リヒト、連絡ありがとう」
「わざわざ来てくれてありがとう、燈二は?」
「とっくに解散して、俺寝るところだった」
「えぇ、起こしちゃった? ごめんね?」
「いやいや。翔だけ酔っ払い?」
リヒトがスペースを開けてくれて、翔の隣に座った。
顔を覗き込むとかわいい顔で眠っていた。
「勢いよくがっついて、ぐびぐび飲んだ。俺はちょっとだけ、カイは飲んでないよ」
なんでそんなに飲んだんだい?
もしかして……
目線を二人に送ると、カイが口を開いた。
「俺たちが翔くんから聞き出しちゃったと言うか、なんというか」
カイは言葉を濁してゴニョゴニョ言ってるけど、燈二の言うとおり、俺の気持ちはみんなにバレてたんだろう。そのことで翔は、何か言っちゃったのかな?
「えっと……、燈二にも言われたんだけど、みんなは俺の気持ち、気づいてるんだよね?」
「うん……そして、さっき翔くんから聞いちゃった、ごめんっ!」
両手を合わせて頭を下げるカイ。それに続いてリヒトも控えめに同じポーズを取った。
「翔が自分から?」
「んー、はは、えっと、酔っ払って、ボロボロと」
「なんて言ってた?」
「セイ様の初恋が翔くんだって。あと、翔くんがセイ様のこt」
「カイ」
リヒトがカイの口を塞いだ。
翔が俺のことを……何?
「え、なに?」
「これは本人から聞いたほうがいいと思う」
そう言うと、リヒトは翔を揺らして起こした。
「翔ー、宮ちゃん来たよ?」
「んぅ、え? こないよぉ〜」
「いるよ」
「んぇ、あきぃらぁ、、いるぅ」
身体を起こした翔はリヒトの方を見た後、俺の声で振り返って、顔を見た。にへらっと笑って名前を呼びながら俺の膝の上に顔を埋めてしまった。
「はぁぁぅ!」
その姿を見てカイは奇声を上げながら両手で顔を覆った。指の間から見ていたけど。
「うるさ、ぅ……ん〜……」
「で翔くん? 翔くんはセイ様のこと、どう思ってるの?」
「んー? すきぃ〜」
「、、、、、、、?」
思考停止。なのにさらに打撃がくる。
なんと翔が腕を回してきた。変な体勢だったけど、膝枕からそのまま腰に抱きついてきたような。
「うっ、、、……は?」
さっきまで、期待しないようにしなきゃ! と自分に言い聞かせ、これからは一回引いてみようなんて思っていたのに。
「ど、、、ゆこと?」
二人を見るも、誰も何も言ってくれない。
「か、かけるー?」
「なんで夢にも出てくんのぉ……」
今のこれを夢だと思ってる?
「あぁ、さっきも言ってた。夢に出てくるって」
翔の夢に俺が登場するなんて。それこそ夢みたいだと思った。
「てかセイ様! 翔くんにチューしたの⁉︎」
「え⁉︎ 翔が言ったの⁉︎」
「……したんだぁ」
リヒトは横目で俺を見ながらちょびっとだけお酒を飲んだ。
「うっ、はい。スミマセン」
心配で来たのに、結局質問攻めをくらってしまった。ポロポロと墓穴を掘って、結局話してしまった。といっても、翔のせいだから! 翔が酔って喋っちゃうから!