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第20話 2周目12歳⑥

2時間目が終わって中間休みになると‥‥‥‥校内はザワザワ騒がしくなる。

維はこの騒がしい状況に緊張するんだよな‥‥‥‥。後を振り返って維を見ると‥‥‥‥算数の教科書を瞬き忘れてんちゃん?ってくらい見まくってる。あっかーん。緊張しまくりやん。

「維!」「維!」「維!」

「呼んだ?」やっと顔上げる。

「よかった。耳が死んでんちゃん?って思ったわー。」

維が呆れたようにため息をつきながら言う。

「はぁ?何を言ってんの?」

「だって、この距離で3回呼んだから!」自分と維を人差し指で交互に何回も指す。

「えっ!ウソッ!ごめん。集中してた。」

「教科書は、もうえぇからトイレ行ってこい!維は緊張したら、おしっこしたなるんやから!!」

「もぅ!最悪!!!でも、行ってこよう!」維は思い当たる事があるんか素直に席を立った。

「おぅ。」バタバタと走ってトイレに行く維を見送りながら自分の机を下げる。ノートを切ってすぐに教えられるようにした。でも‥‥‥‥よう考えたら、こんなにギャラリーが多い中バレずに紙を渡すんはムリやなぁ。ノートに大きく書いて維が見えるようにするか‥‥‥‥‥。作戦変更や。維がバタバタっと走って帰ってきた。

「お母さん達、もう廊下におったわ。めっちゃ話してたわ。」はぁーっとため息をつく。

「維、こんな人が多いなか紙を渡すんはムリや!」

「えっ。そんなぁ‥‥‥‥。」

「大丈夫や。」維を見る。

「えぇか。ノートに大きく答え書いて左に置く。で、俺は右に寄る。見えるかどうか試してみるから。」ノートに850って書いて右に寄る。

後を振り返って維を見る。

「見えたか?何て書いてあった」

「見えた。850」維が笑顔で言う。

「正解や。これでいくからな!!」

「うん。光司君ありがとう。」維が、また笑顔で言う。フッ。維のその笑顔が2回も見れただけで幸せすぎる!!!!

参観日は、やっぱり生ジーは維をあてたけど俺が教えて維は正解した。問題なく参観日が終わって維は「ありがとう。」って言ってくれた。あ〜今日は良い日過ぎてヤバイ。


その日の夜、ベットの上で今日の維の「ありがとう」と笑顔を思い出して枕を抱いて足をバタバタして悶絶していた。

はぁァァァ。ヤバイ。維の笑顔は良いな。特別かわいいってわけやないけどな、たまらん。うーーーん。って悶絶していると

ドンっ!!隣の部屋の兄ちゃんに壁を蹴られた!!

「アホ光司うるさい!」って兄ちゃんが叫ぶと、1階から「うるさいのもアホなんも陸あんたや!!」ってオカンの叫ぶ声が‥‥‥‥‥。結果、1番うるさいのはオカンやった!おぉーい!近所迷惑やん。

反省して静かに考える。2周目人生12年で数々の維のピンチを救った。けど「ありがとう」って言われたんは初やない?そんなわけないかー。イヤでも、めっちゃ少ないはずや。何でや??

そんなん考えんでも、すぐわかる。維がピンチになる前に先回りしてピンチにならんように手を打ってるから維は知らんねん。俺のおかげって!だから、もちろん「ありがとう」も、あの笑顔もない。

はぁァァァ。あの笑顔が欲しい。それに、今のままピンチの回避をしていたら俺のおかげって維は知らないから、いつまで経っても維は俺には惚れない。

どうしたらあぁぁぁぁー。

やっぱりピンチの回避じゃなくてピンチを助けた方が良いのか!!そうだ!!回避は俺が目立たない。ピンチを助けたら俺は維のヒーローになれるし!!

それしかない!!


あっ。思い出したけど‥‥‥‥今度のGWのキャンプで維だけ魚がつれなくて拗ねて山に入って行って迷子になって‥‥‥かなり大騒ぎになったな!!迷子にならんように山に入るのを阻止するんじゃなくて迷子になった維を探し出す方がヒーローになれるな!!

迷子になった場所も何となく思い出したから、そうしよう!!そしたら維は俺に惚れるな!!!!イーッヒッヒー。悪い顔で笑った。



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