翌日。
今日は学校は休みなので、修二さんに渡された紙に書いてある住所に行くことにした。
住所を携帯で検索したら皇居が出てきた。本当にそんな所、普通の高校生が入れるのか?
取り敢えず向かわなければ、何も起きないので家から電車で東京駅に向かう。
電車の中では不安だけが頭を巡った。
彦齋さんのこと、刀のこと──自分の未来が霞んで見えた。
彦齋さんにはまた会えるのだろうか?
刀は国が管理すると言った以上、これからどうなるのだろうか。
刀だけじゃない、知るとは言っても何を知るのだろうか?
そんな不安な事ばかり考えてしまう。でも、そのおかげで直ぐに東京駅に着いた。
東京駅は人で溢れていた、土曜日とは言えこれから仕事に行く人もいるのだろう。それにここは東京都の中心だ、ビル街でもあるし人が多いのも分かるがそれにしても人が多い上に広い、これでは迷ってしまうが皇居までは地図を見れば直ぐに着いた。
「此処で合っているんだよな?」
住所は確かに此処だ、家で検索した時に本当に大丈夫なのかとも思ったが、此処に来ると余計に心配になる。
何処に行けばいいのか分からずに、周りをとぼとぼと歩く。
そしたら、全身スーツの若い男の人が話しかけてきた。
「神崎様ですね」
スーツの男が無表情に言った。
「案内を任されています。どうぞ、こちらへ」
彼の後ろ姿には迷いがなかった。ついていくしかない。
「あの……これからどこへ?」
「私にも知らされていません」
不安が喉に引っかかったが、もう戻れなかった。
一人で行くには不安だった。
「あの?此処からどうやって?」
「この先を真っ直ぐ行けば大丈夫ですよ」
「分かりました」
言われたまま真っ直ぐ進むと、扉があった。
「このまま進んでいいのかな?」
そう悩んだが言われた通りに進むことにした、扉を開けると重い扉に力一杯、引っ張ると中には地下に続く階段があった。そのまま進むと和風に装飾された通りになっていて一服変わった感じで違和感があった。
階段を降りると、和紙張りの壁と木の香りに包まれた廊下が現れた。
外の近代的な空間とはあまりに違う──まるで時間が歪んだようだった
その先にある部屋には、和の設えと現代的な生活設備が同居していた。
ソファーの上、まるでここが当然のように
「おう、神崎君」
「え……先生?」
ソファーには日本史の先生が座っていた。