「皇護はいつから出来た組織なんですか?」
「こう言う組織は随分前からあったんだ。形や名前を変えて」
「そんな組織があるなんて」
「この組織自体、新維新志士が暴れ始めて、以前あったものから名前を変えて日本の脅威になると認識した時に作られたんだ」
今のこの組織は新維新志士を何とかする為に、作られたと言う事だ。
「今は新維新志士の人間を捕まえるまたは殺す、それが僕らの今の任務になる」
捕まえる、または殺す。これはもう話を聞いた時に決心してはいた。
だが、もしその時がきても俺は、俺の使命を全うするその覚悟の為に、俺はこの無銘を手にぎゅっと握りしめた。
でも、あれから彦齋さんとコンタクトがとれない。どうすればまた話せるのか分からないままだったが、今いる場所はそれについて詳しい場所だった。
「あの?」
「どうした?」
「もしかして、坂本さんは坂本龍馬と話しをしたことはありますか?」
「あるよ」
「どうやればこの持ち主と話せますか?」
「それは、僕にも分からないんだよ」
「そうですか」
「でも、持ち主が話したいと思った時に何かをトリガーとして持ち主の世界に行けるらしいんだけどね。詳しくはそれぞれ皆、違うから神崎君がどうやって川上彦齋の世界に行けるかは今度、会った時に聞いてみるといいよ」
「分かりました、それで結局、皇護ってなんなんですか?」
坂本さんはそのままソファーに座っておくように、僕に促して自分はキッチンで飲み物を用意すると言って何がいいか聞いてきた。
「神崎君の希望はなにかな?」
「えっとお茶でも大丈夫です」
「そうはいかないな、これから仲間になるんだ。仲間の好きな飲み物くらいはね。ここには色々あるよ」
「じゃあ、珈琲で」
「おや、意外だね。神崎君は甘党かと思ったんだけど」
「珈琲は良く飲みますけど、甘党なのは合っています」
「そうなんだ、神崎君は今は高校生だよね?」
「はい、高校三年生です」
「そっかー、じゃあ今一番難しい時期だね」
「そうですかね」
「その様子だと、何やら今悩んでいるのかな?」
「まあ、はい」
「僕はこれから君の上司になるんだ、なんでも気軽に相談してもいいんだよ」
「じゃあ、今まで僕は友達は多い方なんですけど、勉強もスポーツもできないんです、部活もサッカー部だけど一番下手くそだし人付き合いも段々と疲れてきて、今までのように話せなくなってきて、それで今まで自分は友達に仮面を付けて話していたんだなって」
「まず、その若さでそこまで、自己分析出来ているのは凄いことだよ、でも考えすぎって事もあるね」
「考えすぎですか」
「うん、僕が神崎君と同い年くらいの時は何も考えないで、ただ過ぎていく時間を楽しんでいたよ」
「それが怖いんです。ただ過ぎていく時間に自分は何も残せないんじゃないかって」
「それなら、もう解決できそうだね」
「え?」
坂本さんの言っていることが分からなかったけど、次の言葉がすっと体に染み込んできた。
「君がこれからする仕事は仲間も沢山できるし、歴史の教科書に残らなくても誰かの記憶には残る仕事だよ」
「誰かの記憶に」
「そうだよ、これから君は誰かに必ず頼られる、これが君がこれからやる仕事なんだ」
誰かの助けになる、今までは考えて来なかった。今までは自分の事で精一杯だったしそんな自分が少しは人様の為に何かできる立場に立っているのだと思わされた。
「分かりました、ありがとうございます。それで皇護については?」
「さっきも言ったけど、僕らの一番の使命は新維新志士を捕まえることがベストだけど、それが出来なければ殺しも許可されているそれは神崎君も胸に置いといてほしい」
「分かりました」
「現在皇護で、今日本にいて動ける人は神崎君も含めて六人、接近戦は三人で遠距離でサポートしてくれるのが一人そして医療系が一人って感じかな」
「あの?」
「なに?」
「僕みたいに選ばれた人ってどういう事ですか?」
「ああ、僕らには当たり前だったから説明を忘れていたね。ごめんね」
当たり前って事は僕が、この前起きた事がこの世界では当たり前で自分としては新しい事でそんな自分がついてこられるのだろうか?
「それで、この世界では表に出てないだけで、神崎君みたいに偉人が残した武器などに魂を残したりして現世の人間に力を貸したり、干渉する力があるんだ。それを選ばれた人と言うが僕らの世界ではレガシーホルダーと言っている」
レガシーホルダー、遺産を受け継ぐ人達と言う意味なのだろうか?
「そのレガシーホルダーとは世界では、どのくらいいるんですか?」
「世界現在確認されているのは大体多く見積もって五十から百人だと思う」
「結構いるんですね」
「まあ確認されているだけで、僕らが認識していて情報を持っているのはもっと少ないけど、実際は偉人が残した物は数多くあるから、神崎君よりも子供で力を持ってしまう子供だったりは日本では皇護で保護しているけどそれもまだまだ追いついていない状況なんだ」
「坂本さんはどんな能力を持っているんですか?」
「僕はね、坂本龍馬から力を借りているんだけど、そんな能力を使えると思う?」
歴史は好きだけど勉学がない自分からしても知っている有名な人だけど、坂本龍馬って何か武器を使ったりしていたっけ?
そんな疑問でいっぱいだったしこれ以上考えても出てこないだろうと思って降参した。
「分かりません」
「僕はね、これを見たときに坂本龍馬とコンタクトしたんだ」
坂本さんが置いてあったバックから取り出したのは一冊の本だった。
「坂本龍馬書簡集?」
「簡単に言うと坂本龍馬の当時の考え方が書いてあるんだ、これを見たときに坂本龍馬とコンタクトしたんだ」
「そんな重要なものを持っていて大丈夫なんですか?」
「僕らはいつ何か偉人から接触することがあってもいいように国から、文化財特別管理法という法律があってねそれで許可されていて、何か表に出ないといけない博覧会などがある時は精巧なレプリカなどで誤魔化しているんだ。それに世界には偉人の物がまだ見つかってないものもあるからそれを回収するのも皇護の役割なんだ」
色んな話を聞いて世界の裏側を知った気もした。
「でも、それを奪って悪用したりする連中がいたりしないんですか?」
想像できるのは新維新志士達だが、実際、剣客や銃などは人目につくしそれを悪用されて犯罪などされる不安はあった。
「それはね大丈夫だよ、偉人が認めた人間以外力を使う事は出来ないんだ。まあそれなりに選ばれた人が死なない限り力を借りる所有者は変わらないんだ」
「そうなんですね」
「でも、こちらにレガシーホルダーがいるように世界でも日本では新維新志士達にもレガシーホルダーはいるんだ」
「悪用されるって分かっても力を貸す偉人がいるんですか?」
「いるね、まあ歴史は変わっても偉人本人は変わらないから。思想なども変わらない限り悪人もいるってことだよ」
「そうなんですね」
「まあ、説明はこれくらいでいいかな?」
「まあ、大体は」
「じゃあ、神崎君はこれかは皇護に力を貸してくれるって事でいいかな?」
「はい!!」
「良い声かけだ、それでねこれから新維新志士達の動きが活発になる事が予定されているんだ。だから神崎君は今、皇護の日本にいる中では最年少だから学校にいけない事も増えるけどこれも理解できるかな?」
「はい」
「それならいいけど、テストとかそう言うこと以外はこちらの仕事を優先してもらう」
「それは構いませんが、学校には何て言えばいいですか?」
「それはこちらでなんとかするよ、まあこっちには国がバックについているからねなんとかなるよ」
「そうですか」
「神崎君も今日は色々聞いて疲れただろうから、今日は帰っていいよ」
丁度もう俺の頭のメモリに余裕がない所だったので、ありがたかった。
「じゃあお疲れ様です」
「うん、それからこのバッチを持っとくといいよ」
手渡されたのは見たこともない模様のバッチだった。
「これには警察官が銃刀法違反などで職務質問を受けてもこれを見せたり、警察官が持っている携帯などで撮影すると本部から皇護だと分かるようになっているから大丈夫だよ」
「ありがとうございます」
「これからはいつ招集がかかってもいいように無銘を肌身離さず持っとくように」
「はい」
「では、今日はありがとうございました」
そうして来た時のようにドアを出ようとしたらまた、呼び止められた
「神崎君」
「はい?」
「今度はこっちから出られるよ」
「え?」
「僕らは普段から此処に集まるから皇居の裏にある入り口から、エレベーターで此処まで直ぐだよ。まあこのバッチを警備員さんに見せれば通してくれるよ」
「分かりました」
俺は坂本さんに指さされた方まであるいて一つの扉を開けるとエレベーターがあった。
それに乗って上に行くと、見たことない場所まで上がってきた。
そこには、一人警備員さんがいてお疲れ様ですと言われて、挨拶して外を見ると直ぐ問があって外に出られた。そこには人影はなく此処から出入りすればもし責められても見つかることはない秘密の入り口だと思った。
俺は電車に乗って家に帰るが学校に行ったら日本史の先生に、お礼を言おうと思う反面、今自分は日本刀を持っているドキドキ感があったがこの前、警察署では皇護については修二さんしか知らないようだったけど本当にこの先、大丈夫なのだうか?