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第16話シルバーウイーク

そうして時が経ち一週間、世間はシルバーウイークと言うことで何処も人がひしめき合っていた。それは渋谷も例外ではない、特に人が多くかった。

そんな中、渋谷のスクランブル交差点の周りを皇護が囲っていた。

この、一週間で武蔵さんだけではなく、沖田さんとも剣の修行そして織田さんと龍馬さんの射撃など実践的な訓練を繰り返した。

「神崎君、聞こえる?」

「はい」

この声は玲奈さんだった。玲奈さんは医療班って事で車で待機、織田さんは高いビルの屋上で狙撃をしていて龍馬さんは玲奈さんと車でモニターを見ながら指示を出す。それ以外の武蔵さんと沖田さん、そして俺が前線に出る事になった。そして勿論、警察もいて全て私服でカモフラージュしていているので素人は気づかない、完璧な布陣だった。

そして、状況が変わる。

「来た、彼だ」

龍馬さんが言った瞬間、スクランブル交差点の中心を見ると黒服を着た三人に囲まれて歩いている人がいた。腕を掴まれていてふらふらしていて、歩くのも困難な状況だった。

「指示通り、僕が行く」

「気を付けろよ、龍馬」

「うん」

近くに止めてある車から龍馬さんが出てきて、黒服と話をする距離まで来て黒服にレガシーホルダーが書かれている紙を渡した。

「これこちらが確認している、レガシーホルダーのリストだ」

「高杉蒼一だ」

新維新志士は、潜入している人の潜入だけではなく本名まで知っているのか?

「蒼一、大丈夫かい?」

「すまん」

「大丈夫だ」

「これで終わりではないぞ、皇護」

なにやら物騒な事を言いはいじめた。

「今日は皇護を潰す」

「なに?」

龍馬さんが言った瞬間、龍馬さんと高杉さんの二人の体が弾丸を貫き通た。

「龍馬さん!!」

「きゃーー!!」

スクランブル交差点に来ていた、一般人の悲鳴が響いた。

そして俺が動く前に沖田さんが動き出した。スクランブル交差点は信号が赤になって中央には人だかりはない、だから狙撃に遭った。

「沖田さん、狙撃されます」

沖田さんは龍馬さんを慕っていた、だから声が聞こえてなかった。

沖田さんは黒服と戦いあっていた、周囲の人達はスマホで撮影していた。

「避難が、どうすれば」

「神崎、龍馬を狙撃した奴は今、俺が狙撃したから蒼一と龍馬を連れて、玲奈さんの車に運べ」

「織田さん、分かりました」

「まだ、狙撃手がいるかもしれない、でも俺が目を光らせておくから安心して動け!!」

「はい!!」

直ぐに龍馬さんと高杉さんを担いで、離れる。

「玲奈さん!!」

「彦真!!よく連れてきた。あと任せて」

「お願いします」

「待って」

「え?」

俺を引き留めたのは高杉さんだった。

「君が新入りか?」

「はい」

「無理を承知で頼む、村正を止めてくれ」

「そのつもりです」

そして高杉さんは、少し笑って。

「良い目だ」

そして気を失ってしまった。

「玲奈さん、お願いします」

「私が、誰に認められたと思っているの!!」

「そうですね、いらない心配でした」

そして、一礼して現場に戻った。

現場に戻ると、一般人は映画の撮影だと思う人で警察が「これ以上来ないでください!!」と言うのを無視してまでスマホで撮影を続けていた。

こいつらは人が撃たれても、平気なのか?どうかしている。でも、今は黒服だ。沖田さんと一緒に武蔵さんも二刀流で戦っていた、本気で戦っているそして圧しているのでこれは俺がいない方がいいのではと思った瞬間だった。

スクランブル交差点の近くにある、巨大モニターに覆面で声を変えていた奴が映った。

「これは映画の撮影ではない、この時代に、政府に全てに何か不満があるのなら、この刀を持ち立ち上がれ!!」

そんなセリフだった。そして上空を見ると一機のヘリコプターから日本刀が落ちてきた。

落ちた日本刀は間違いなく、村正だった。落ちてきた村正から黒いオーラが噴き出てそれを浴びた一般人が村正を持ち暴れ始めた。

「うぉぉぉーーーー!!」

最初に持った人達が斬り合いを始めて、それに逃げ始めてここら一辺は阿鼻叫喚でカオスになっていた。

「お前も死ねーー!!」

後ろから切り殺そうとしてきた一般人を避けながら、何とか黒服の奴の所へと向かうが一般人の数が多く避けるのだけで精一杯だった。

「神崎君!!黒服は倒した。君は警察と強力して一般人の避難を!!僕と武蔵が村正に乗っ取られている人をなんとかする」

「分かりました!!」

俺は直ぐに避難が遅れた人達の前に立ち、無銘を抜かずに盾になり子供や女の人を優先に立ち上がらせ駅のホームに送る。

「大丈夫ですか?!」

「ありがとうございます」

「早く逃げて!!」

それを繰り返す。

一瞬、後ろで泣き叫んで親を呼ぶ子供がいた。

「おかさーん、うぇーん」

その子供を斬ろうとする人の後ろに一瞬で移動して、無銘を振り首討ちをする。首討ちと一瞬で移動する技、「瞬穿」を使った、これは暗殺の技。使うことはないだろうと思っていたが覚えていて良かった。この二つの技を使い避難を進める。

それから、十分程度経ち避難を終えた。殆どが村正のオーラに充てられてしまい、斬り合いをしているので逃げ遅れた人の方が少なかったので、警察が主導になり、駅のホームに逃げる道を作り俺は直ぐに逃げ遅れた人達を警察に渡して、避難の中心になっている駅のホームに入る入り口の前に立ち、村正呪いに乗っ取られた人達を通さない事に徹した。

「沖田さん、武蔵さん。避難は終わりました。後は村正をどうにかしましょう」

「分かった」

「よくやった小僧」

武蔵さんからは餓鬼から小僧に呼び方が変わったのを思い出しながら、稽古のことも思い出す。それぞれ刀の達人だ。それは何度も刀を交わしたので分かる。彼らなら不意を突かれなければ大丈夫だろう。後は、織田さんの射撃で村正を弾いてもらっているだからこそ俺は駅のホームを守るのに事に徹しれる。

そんな状況が続いて少し経つ、警官は拳銃を持って威嚇射撃を上にするが、村正の呪いに乗っ取られているのでそんなものは意味はない。なので、警察官が斬られそうになるのを首討ちで止めるが何せ数が多い、どうすればいいのか?無線から沖田さんと武蔵さんの息が上がって疲れが見え始めるこれではじん貧だ、これでは時期に押し切られてしまう。どうすれば。

[彦真]

[なんですか?今手が離せないですけど]

[分かっておる、状況を変えるぞ]

[変えるってどうやって]

[これは強力な技だが、呪いや力に乗っ取られている者にしか効かない]

[それなら好都合だ]

[いいか村正の本物にはあくまでも効果はない]

[分かった、早く教えてくれ]

[上空に向かって、魂気を溜めて刀を振れ]

[魂気?]

[エネルギーを放つイメージだ、朝食べた物や飲んだ物を感じてエネルギーに変えろ]

[そんな無茶な]

[考えている時間はないやれ!!]

[分かった]

兎に角エネルギーを溜める事に集中して、さっき食べた物を感じて腹から手先に集中させて、指先に意識を集中させ、内から湧き上がる温かな気配を感じて、静かに目を閉じ、深く息を吐いた。周囲の音が遠のき、意識のすべてを、指先に集中させる。

[今だ!!]

「届け!!」

刀の先がは青白く光る。そして思いっきり、上空に向かって刀を降った。

その光は村正の呪いに乗っ取られた人達の上空で、円を描くように円状に光った。そしてその光が段々下に向かっていき。光が無くなると同時に村正を持っていた人達が一斉に倒れた。

「何が起きたんだ?」

沖田さんの声が無線から聞こえた、その声から疲れを感じさせた。

「うまく行きました」

「これ、神崎君がやったの?」

「はい、彦齋さんの言う通りにやったらうまくいきました」

「上出来だ小僧」

「はい」

それから、遅れていて合流した応援の警察官と今いる警察官が主導になり、一般人に手錠をかけていく。

「彦真!!」

「修二さん?」

「よくやったな」

「いえ、この人達どうなるんですか?」

「まだ分からないが、この人達の意識はなかったに等しい、だからどうなるかはこれから俺達が判断する」

「出来れば罪がない方向で」

「分かっているが、全員がそうなるとは限らない」

「そうですか」

「まあ、でもそんな人を思う心があるお前だからこんな奇跡を成せたのかもな」

「それは言い過ぎですよ」

「そうか?俺はお前が皇護に入る前から買っていたんだぞ」

「そうなんですか?」

「ああ」

何とかなったが周囲を見ると沖田さんも、武蔵さんもぐったりしているのが見えた。

「よくやったな、神崎彦真」

「え?」

声がする方を見るとさっきの覆面で声を変えている、奴が喋っていた。

「どうして俺の名前を?」

「当然だ、所持者をずっと選ばなかったあの川上彦齋を動かした奴のことは調べるさ」

「どういう事だ?!」

「それは本人に聞け、それより今送った場所まで一人で来い。そこで村正の所持者が待っている」

携帯を見るとメールが届いていていた、そこにはURLがありそこを押すと、此処からそう遠くない場所が示されていた。

「行くのか?」

修二さんが心配そうにこちらを見てきた。

「そんな心配しないでくだいよ、死にに行くんじゃないんだし」

「神崎君、行って!!」

「沖田さん」

「待て、小僧一人だでは無理だ!!」

「でも、僕らもう動けないでしょ。今は一週間とはいえ僕らが鍛えた神崎君を信じよう」

「だが!!」

「神崎君、行って」

「この声、龍馬さん?!」

「龍馬さん、大丈夫なんですか?」

「うん、玲奈のおかげで喋れるくらいには」

「良かった」

「神崎君、これは今君にしか聞こえてないことだ」

「え?」

「君は川上彦齋の子孫だ」

「どういう事ですか?」

「勝手に君の鑑定をした、そしてそれを知っていんだ。悪いことをしたね。ごめんなさい」

「謝らないでください、これで村正の所持者にも誰にも負けないような気がします」

「そっか、やっぱり伝えて良かった。行ってきな。村正を止めるんでしょ?」

「はい!!」

俺は地図の通りの場所に向かったが途中に、彦齋さんが語りかけてきた。

[彦真]

[彦齋さん、どうしたんですか?]

[さっきの技の事を伝えようと思ってな]

[さっきの技?]

[ああ、あれは。浄破・天輪と言う]

[浄破・天輪]

[ああ、呪いによって精神を侵された者の“精神の核”に直接語りかけるような斬撃で、斬るのは“呪い”であり、対象の体には傷一つ付かない。]

[咄嗟に思いついたんですか?]

[ああ、“天の輪”のように浄化の波動が広がることからそう名前を付けた]

[センスありますね]

[まあ、俺は理論を組み立てたにすぎんよ、現実にできたのは、お前の人を気づ付けたくないと言う優しさで出来た技だ、これはお前の技だ物にしろ]

[分かりました、ありがとうございます]

[まあ、拙者の子孫なんだ胸を張れ]

[はい!!]

それから彦齋さんの声は帰って来なかった。

そして俺は一つの技を思いついた、これが出来れば村正を止められるかもしれない。

彦齋さんと血が繋がっているとは、思わなかったけどそれはとても遠い血の繋がり、でもそれが力になる。そんな思いを持って俺は村正の所持者の部屋のドアを開けた。


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