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第26話少年少女

ドアを開けると、そこには研究室のような場所だった。

「誰だお前ら!!」

中には複数の研究員が居り、武器を持ち俺達に向かってきた。

華岡さんは後ろに、織田さんは銃を持ち華岡さんを守りながら俺は前線で無銘を持ちながら剣を振った。

一人、一人を斬りながら倒していく。今度こそ人を殺さないなんてことはしなかった。

事前に聞いていた残忍なことをやっている人間達だ情をかけることはないし、朧に教えられた。これから先は殺さないでやっていける程優しくはない。

俺は無銘一本でこの場を収めた、織田さんの援護射撃があったのもあり数分で十人くらいいたが全員レガシーホルダーではなかったので相手にならなかった。

研究室の中は研究資料がありそれを眺めていると、織田さんが電話をし始めた。

会話を聞くよりも、この研究資料が気になった。

それは数列などが並べられていたので、俺には何がなんだか分からなかった。

「これ見て」

そう言ったのは華岡さんだった。

「なんですか?」

「研究資料だけど、その詳細」

そのノートには、日記のようなものが記載されていた。

「実験は失敗だ、これで二十人。十人だけ適合者が現れたがその全員が意思がない」

「これ、十人って全員があの残虐な薬とか使われたってことですかね?」

「そうだね、本当に酷い」

「おい」

「どうしました、織田さん?」

「龍馬達が襲撃を受けたらしい」

「え?」

そう言った瞬間、途轍もない程の爆弾音が鳴り響いた。

「なんだ?」

「とりあえず外に出るぞ」

「はい」

そうして、来た道をかけ走り研究室から外に出た。


「龍馬さん!!」

外は龍馬さんと沖田さん、宮本さんが少年少女に囲まれていた。

「華山さんは後ろに、神崎は坂本と宮本の援護」

「分かりました」

いきなり本名で呼ばれて驚いたが、皇護では外では本名で呼び合うことを忘れていたが今はそんなことはどうでもいい。

後ろから剣の峰で気を失わせる。

「大丈夫ですか?」

「ああ、こいつらは俺らが行った場所の奥の部屋で幽閉されていた。恐らく実験台だ」

それだけで、理解できた。

それによくよく見たら目の下にはくまが出来ており、自分たちの意思で動いているというより無理やり体を動かされているかのようだった。

「どうするんですか、これ?」

「どうするもこうするも、傷つけないように全員生け捕りにするしかないだろ」

生け捕りとは言え、どうするか迷いながら刀を刀で受け流しながら、中には拳銃を持ち追撃してくる。まあ視界が覚束ないためか、よけることはできるし今まで以上に彦齋との共鳴が出来てるお陰で銃弾を弾くことができることが出来ているがそれも時間の問題だ。

「これ以上無理ですよ」

じりじりと距離が近づいてきて、刀を振られる。

どうすればいいのか、でも悩んでいる時間はない。

今までの俺なら刀の原で気を失わせるくらいしかできにないが、俺にには新しい力がある。

ひっそりとそいつと会話をして新しく得た技がある。

「皆、この子達から距離をとってそれぞれ注意を引いてください」

「なんで?」

「今は神崎君の言う通りにしよう」

龍馬さんの指示で全員がバラバラに動いてそれぞれ、少年少女の動きを止めてくれる。

その間に俺は無銘ではなくもう一本の刀を鞘から出して、一人一人を斬る。

「おい、生け捕りにしろって」

武蔵さんが言うが倒れていく少年少女に斬り傷はない。

「どう言うことだ?」

皆が混乱している間に全員を斬っていく。

そして十人全員が気を失ったタイミングで、修二さんが連れて来て地元の警察が到着した。

「これはどう言うことだ?」

「修二さんこれは…」

龍馬さんが事情を説明している間に、皆に説明をする。

「神崎君どう言うことだい?」

「これは村正です」

「村正?」

「はい、村正の呪いを使って一時的に気を失ってもらってます」

「大丈夫なのかそれ?」

「はい、半日入院して安静にしてもらえば大丈夫です。もう村正と対話しましたから」

「それを信用しろと?」

織田さんが目を細めて言う。

「この技は朧も使っていたらしいんです」

「朧が?」

「それについては、俺が説明するよ」

声がした方を見ると沖田さんがスマホから声が聞こえた。

「誰ですか?」

「高杉だ」

「え?」

困惑で困っていると沖田さんが説明してくれた。

「高杉さんはここいらの防犯カメラと、僕らのスマホのカメラで様子を見ていたんだ」

「え?それってずっと?」

「もう、ハッキングはしてない」

「そう言うことじゃなくて、私生活とか覗かれたくないんだけど」

華岡さんが会話に入ってくる。

「今回のハッキングは皇護の安全と指示を出すためにやったことだ。普段はこんなことはしない」

「なんか安心できないんですけど」

「皇護のメンバーの信頼を揺らぐことはしないさ。今までだって俺は皇護の為に働いてきたんだ」

「玲奈さん、高杉さんもこう言ってるし大丈夫ですよ」

「分かったわよ」

「じゃあ説明を続けるよ。神崎君が使用したのは封血・魂刻印と言って俺と共に新維新志士の潜入した時に相手を傷つけないために一時的に村正の呪いを使っていたんだ」

「安全性は?」

「半日安静にしていたら大丈夫だ、ただ相手は精神が参っていて満身創痍なので入院していれば大丈夫だろう」

「そんな技があるなら最初から使ってよ」

華岡さんの意見はごもっともだった。

「でも相手に呪いをかけるんです。だから極力使いたくはないしそれに一時的とは言え、意思を奪うので危険性はないとはいえ奥の手としてこれからも使います」

「皆」

龍馬さんが修二さんとの会話を終えてこちらに来た。

「捉えた少年少女達はどうなりましたか?」

「全員病院に入院することが決まったけど、問題は意識もないまだ中にいる子達だね」

「まだ他にもいたんですか?」

「うん、あと十人くらいいるけど全員が意識もなくてまだ辛うじて生きてはいるけど安心できる状況ではないね」

「そうですか」

現場を見たわけではないが先ほどの研究室の紙の山を見ると、確かに残忍な研究をされていたので安心はできない。

「じゃあ僕らは帰ろうか」

「そうですね」

淡泊かもしれないが此処にいても俺達にできることはない、なので今は医者に頼んで後は去って行くしかない。


新維新志士の研究施設から離れたとある場所では。

「折角あんなに金かけたのに、こんなに簡単に手放していいのか?」

「問題はない、成果は出たんだ。俺達は今後の計画に集中しよう」

「分かった」


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