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第28話ポップアップストア

「お待たせ」

「遅いぞ彦真」

今日、十二月二十五日。クリスマスに集まったのは同じクラスの光一、柚葉そして柚葉と

同じクラスの女の子だった。

「あの?初めましてではないですけど私のこと知ってます?」

「ええっと、遥ちゃんだよね」

「はい、よろしくお願いします」

「うん」

「じゃあ行こうか」

そう言って渋谷駅から歩いた。

今日のお目当ては渋谷の109で行われる、柚葉が度々言っていた好きなアイドルのポッ

ップストアをやるらしく、光一や遥ちゃんも好きらしくそのポップアップストアでは客

の人数でもらえる特典があるらしく、俺はそれに付き合うことになった。

「それで時間は大丈夫なの?」

「うん、時間制限あるけど今から行って並べば大丈夫」

「そうか」

それから、お互いの冬休みの過ごし方などを話しながら109まで歩いた。

光一は大学進学しそこでも、サッカー部でやると言っていてもう合格しているので今は、 退したサッカー部に顔を出しながら自分も練習をしているらしい。

「お前はサッカー本当に好きだな」

「まあな、お前はどうなんだ?」

「俺も大学だよ、一般だから試験は二月だけど」

「そっか、遥も一応俺と同じ大学に行くことになってるから。キャンパスライフが楽しみだ」

「ん?もしかしてお前と遥ちゃんって」

「それはな」

「いつから?」

「今日で一か月くらいかな?」

まさかサッカー一筋の光一に恋人ができるなんて驚いた。

「まさかお前がな~」

「まあね、勉強もスポーツも適度に遊びを入れないとな」

「で、どうやって仲良くなったの?」

「同じ大学に進学するってことで、学校で話していたらって感じだな」

「へー、まあいいんじゃね」

「それはそうと、お前はどうなんだよ」

「俺?」

いきなり俺がどうなのかって言われても俺には、ピンとこなかった。

「俺はなにもないよ」

「そんなことないだろ、柚葉ちゃんと仲良いだろ?」

「柚葉とはそう言う仲ではないよ、って言うかどこからそんな話しになるんだよ」

「柚葉ちゃんって顔可愛いじゃん、それに一年の時から仲が良かったじゃん」

「それは、柚葉がいじめえれてたからそれを見て見ぬふりが出来なかっただけ」

「まあそれは知ってるけどさ、今最後の高校生活に花咲かせようって狙ってる人多いぞ」

「そうなんだ」

確かに柚葉は可愛い部類に入ると俺も思っているし、柚葉はいじめられてそれを乗り越え

てメイクや髪のセットなどを勉強して前より一段と可愛くなって、それを知った人は柚葉に告白する男子がいたりしたが、柚葉はそれを全て断っているらしい。いつかそれを何故断っているのか聞いてみた時があった。

でも本人は好きな人がいるわけではないけど、なんとなく好きじゃないからと言う曖昧な理由だった。 俺が柚葉に好意を持っていなかったわけではないけど、最近はそう言った気持ちは持てなかった。それは朧の妹だと言うことが大きいのかもしれない。

朧は俺に柚葉を頼むと言った、それは必ずしも恋人として傍で守ることだけではないと思う、恋人でもなくても、近くにいれなくても守ることはできる。

一番は近くで守ることだが数か月経てば、俺は日本にいなくなるだろう。だから俺は俺のやり方で柚葉を守ろうと思った。

「で、実際どうなの?」

「どうって何もないけど」

「強がるなよ~」

「強がってない、ただ俺は柚葉が選んだ人ならだれでも良いってだけ」

「親か」

「友達としてだよ」

光一に親か、って言われて実際柚葉が選んだ人を親、そして兄である朧は見れないのかと 思うと少しだけ悲しいけどそれでもこれから柚葉が送る人生でそう言う人が増えていくことを願うべきだと思った。


それから数分歩いて109に着いた。

中に入ると男の自分としては、居ずらい場所だった。

それは光一も気づいたらしく、目が泳いでいた。中はピンク色だったりとにかくカラフルで目が痛い。

そして階段で地下に入ると、更にカラフルさが増した。

下に行って直ぐに人の列が見えた。

「この列に並ぶのか?」

「うん」

列に並んでいるとスタッフが来て、柚葉がスマホを見せてなにか確認をとっていてそれが終わった時に柚葉に聞くと、

「柚葉」

「なに?」

「さっきのなに見せてたの?」

「チケットを見せてたんだよ」

「なるほどね、それにしてもこのアイドルって人気あるんだな」

「そりゃそうさ」

光一が会話に割り込んできた。

「なんで?」

「最近日本だけじゃなくて海外からも人気があって、ほら列の何個か前に外人いるでしょ?」

前を覗くと確かに一目で外国人だと分かる人がいた。

「なるほどねー」

一応行く前に下調べはしてきたつもりではあるが、まさかここまで人気だとは思わなかった。

列はどこまで続いているのか分からない程並んでいた。  

「これどの位並ぶんだ?」

「十五分くらいかな」

「まじか」

それから学生の十五分とは短いらしい、俺以外の三人はアイドルの話では盛り上がってい

て、誰が推しなのかとかあの子のどんなダンスが魅力的だとか俺にはさっぱり分からない

話しをしていて正直、蚊帳の外と言う感じだったがそれも聞いていると意外と面白い。

俺には誰の話しをしているのか分からないが、それぞれ個性があってスマホでアイドルに

ついて調べて見ながら話しを聞いていると意外と時間は過ぎて行った。


「次の方どうぞ」

そう言われて四人で椅子に座った。

「何頼む?」

「とりあえず飲み物だね」

「そうだね、ステッカー誰のステッカーが来るかな?」

「んー、やっぱり推しがいいよね」

「それはそうだろ」

「さっきから彦真はスマホで何を見てるの?」

「いや、このポップアップやってるアイドルについて色々と」

「おー彦真も興味出て来たか?」

「いや、折角来たしって感じだな」

それでメニューを見ると、メニューにはそれぞれのオリジナルの名前で恐らくファンなら

分かる名前なのだろうが俺にはさっぱりだったが、俺はクリームソーダとオムライスを頼んだ。

皆各々飲み物と食べ物を頼んで、それが運ばれた時が一番元気だった。

ステッカーが銀色の入れ物に入っていてタイミングを合わせて皆で開けると、反応はそれぞれ違った。

「あー、この子ねー」

俺は何やら可愛らしくて今時の人気なビジュアルを持っていてそれだけで、人気があるんだろうなと思った。

「彦真、お前一番人気がある人だぞそれ」

「そうなの?」

「うん」

俺は意外と運があるのかもしれないと思った瞬間、隣から凄い視線を感じて隣を見るとキラキラ光った目で俺の持ってるステッカーを見ている柚葉がいた。

「いる?」

「え?」

「いや、欲しいのかなって思って?」

「いいの!!」

「うん、そんな顔で見られたらね」

「え?どんな顔してた?」

「んー、ご飯を待てされてる犬みたいな」

「馬鹿にしてるでしょ!!」

「いやーまあ」

俺は柚葉にステッカーを渡した。今日来た目的は遊びに来ただけだから、柚葉がこれで楽

しんでくれればそれでいいのだ。


これから原宿にいって噂のカラフルなわたあめを食べに原宿に向かい、夜に渋谷に戻ってそれぞれ、別れて柚葉と俺の二人でイルミネーションを見ていると新維新志士が出てくる


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