未来が扉に手の平をつけるとロックが解除された。
えっ?!
未来を見るために顔をあげると‥‥‥‥
「ここは、元は俺のマンション。」
「えっ?」
「まぁ〜入って!」未来の手が腰にまわり玄関の中に導かれる。
もう1度‥‥‥未来を見上げる。
「ほら!稜輝は自分の名前で貸りたり買ったら調査会社に見つかりそうじゃん。俺が引っ越しするまで一緒に住んでた。」
「一緒に‥‥‥‥‥‥‥。」ちょっと沈みそうになった所にグイっと顎をあげられる。
「龍輝、俺を見て。稜輝はダチで何もない。2人じゃなくて3人だったしね。分かった?」
「うん。」
未来の顔が近づいてきて‥‥‥‥‥あっ!2回目‥‥‥‥‥っと目を閉じたと同時に声がした。
「玄関でいちゃつくな。なかなか入ってこないとおもったら何やってんだよ未来!!」
「えっ。龍輝がかわいいすぎて、つい‥‥‥!」
「ったく。ついじゃねーよ!」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥!えっ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。成瀬さんですよね?」
「成瀬
‥‥‥‥‥‥‥‥成瀬さんが兄ちゃんの??あっ‥‥‥未来の‥異母兄の‥‥‥‥友達で‥‥‥‥たしか‥‥‥‥成瀬貿易の次男。
「‥‥‥‥‥お願いします。」
「うん。入って。」
「イヤイヤ!俺の家!」
「あっ。そうだった。忘れてた。」
「はぁ〜??」
「スマン、スマン」
「お邪魔します。」
成瀬さんと未来の後をトボトボついていく。成瀬さんがドアを開けて部屋に入っていく。
あっ‥‥‥‥‥‥。兄ちゃんの声がかすかに聞こえた。
緊張で足が止まってしまう。未来が優しくほほ笑み手をつないで指を絡める。もう1度、未来を見るとと優しく頷いた。自分も頷き足を前に出し1歩1歩部屋に入る。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。龍輝?!」
聞きたかった兄ちゃんの声が俺を呼んだ。
顔をあげると何もかわらない兄ちゃんの顔があった。笑ってるような泣きそうな目頭が下った何ともいえない表情で俺を見てた。
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥。龍輝‥‥‥‥‥ほんと」
兄ちゃんが謝ってきそうな雰囲気を察して‥‥‥‥
その前に‥‥‥‥‥
「兄ちゃんごめん」
「えっ‥‥‥‥‥?」
「兄ちゃんがいなくなって‥‥‥‥‥たった3年で弱音吐いてごめん。俺はまだ、たった3年一橋の重圧に耐えただけ。兄ちゃんに比べたら5分の1にもならないよ。兄ちゃんは生まれてから、ずっと‥‥‥1人背負ってきた。もう少し、俺に背負わせて?まぁ、1人では難しいから兄ちゃんにも手伝ってほしい。お願いします。」一気に言って頭を下げた。はぁー。言えた。
繋いでた手がギュっと握られる。
「龍輝には俺もいるし〜。だいじょうーぶ!!」未来が茶化したように言う。
グッグッグッスン‥‥‥‥‥‥。
兄ちゃんは目を手で覆い‥‥‥‥‥‥。
「龍輝‥‥‥‥未来‥‥‥ありがとう。」
「‥‥‥‥兄ちゃん。」
ちょっと、しんみり良い雰囲気だったが‥‥‥‥‥
「稜輝‥‥‥俺は?俺には?好きでも良いけど?」今度は成瀬さんが茶化す。
「‥‥‥‥はぁ?ばか??」
兄ちゃんが笑った。
うん。良い雰囲気。よかった。兄ちゃんは見た事ないぐらい柔らかい雰囲気になっていた。本当にコレでよかった。そう思って未来を見ると未来も俺を見ていた。