未来はフフフフフフフフフ。っと鼻歌を歌いながら兄ちゃんに電話した。
まず今日から事業を動かせる事を報告し、交換条件の話もしていた。
「あの女ならチョロイだろ?」っと笑って話す未来をジーっと見ていた。
「じゃ。今夜!」って未来が電話を切る。
「なに?そんなに見つめて。キスして欲しくなった?」っとニヤッと笑い近づいて顎に手を置きグイっと顔を上にあげて目が合う。
「まっ。まっ。まって!ここ会社!」未来に言うも「そうだったかな?」っと顔が近づき唇が触れるだけのキスをしてきた。
自分の唇に右手で触り‥‥‥‥未来を見る。
「なに?物足りない?龍輝く〜ん。ここは会社だから、アレで我慢して!」ってウィンクしてくる。
「はぁァァァ!!」
「まぁまぁ落ち着いて」っとポンポンっと肩を叩かれる。
いや?!何か腑に落ちないけど、仕事を再開する。
未来と共に仕事を進める。早ければ1週間以内に事業は、動き出せる予定。
「よーし。そろそろ帰るか??」ふぁーっと伸びをしながら未来が言う。
腕時計を見ると7時を過ぎていた。
「あー。もう、こんな時間かー。仕事が捗ると時間が過ぎるのを感じないんだね。初めて、ちゃんと仕事をした気がするわ。」
「フッ。当たり前だろ。新卒で何も教えられずに、よく、ここまで、もたせたよ!頑張ったな。」
ふいに褒められて目に涙がたまる。
「兄ちゃんがレールを敷いてくれてたから‥‥‥‥。」
「稜輝が念入りに下準備はしてたけど、稜輝の意図をちゃんと汲めて動けていた。よくやった。」
「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。ありがとう。」やっと聞こえるぐらいの小さい声でつぶやく。
「おう。腹減ったー。マジで早く帰ろ!」未来がパソコンの電源を落としながら言う。
急いで自分のパソコンの電源も落とす。「帰ろ、帰ろ」っと未来が先に歩きだした。パタパタと速歩きでその後をついて歩いていたら、思い出した。
「あっ!」
「何?」振り返り未来が言う。
「仕事が楽しすぎて見合いの事を忘れてた。」
未来がバーンっと背中を叩き言う。
「大丈夫だって!!絶対に向こうから断ってくる。」
「‥‥‥‥‥ゲイです。って言うだけで?」
「それだけではムリやけど、作戦があるから大丈夫だって!とりあえず、早く稜輝達の所に行こう。腹減ったー。」お腹をさすりながら歩きだす。
未来の後をついていき2人でタクシーに乗り、兄ちゃん達のマンションに行く。
「お疲れ〜。」っと兄ちゃんが迎えてくれる、
「あー腹減った。ご飯はどこの?」未来は本当にお腹が空いてるみたいでタクシーの中でも腹減ったーって言っていた。
「和食の【
「えっ!瑞??」未来じゃなくて俺が声をあげる。
「龍輝は瑞が好きやからな。」兄ちゃんが目を細めて言う。
「うん。好きー。ありがとう。」
兄ちゃんは嬉しそうに、また目を細める。
「龍輝と一緒に瑞のご飯が、また食べれるなんて‥‥‥‥思わなかった。」
「うん。」
「ハイハイ。兄弟の2回目の再会はそこまでにして、食おーぜ。マジでお腹すきすぎてる。ハイ。早く座れ。」
「未来、空気読めよ!」兄ちゃんがはぁ~ってため息をつく。
「稜輝!未来が空気読めるわけないじゃん!!」
「ふっ。そうだね。」兄ちゃんが嬉しそうに成瀬さんに返事をする。
やっと4人が席について食べ始めた。
「今日は日本酒で良い?」兄ちゃんが日本酒を持ってくる。
「エッ!!!」ビックリして声に出る。
「龍輝は日本酒ダメだった?ワインもビールもあるどっちが良い?」
「いや〜ダメなわけじゃないけど、今日はお見合いの作戦を立てるからアルコール抜きかと思ってた。」
「フフフフフフ。作戦??大丈夫だって。未来の作戦で上手くいく。」兄ちゃんも未来と同じ事を言うが不安しかない。
「大丈夫だって。あの女みたいにプライドが高いヤツには失敗しない作戦だって!!」成瀬さんも自信マンマンに言う。不思議だけどこの3人が大丈夫って言ったら大丈夫な気がしてきて表情が緩む。
日本酒もすすんだ。会話も弾んだ。アレ??
作戦の話はあまりしてないなー。全容を聞いて、こんなカンジの事を言えばいいから!って事しか聞いてない。時間にして10分なかったけど‥‥‥‥‥。
大丈夫かな??不安しかないが‥‥‥‥‥3人が3人【大丈夫】っと口を揃えて言うのだから大丈夫だて言い聞かせる事にした。
「あっ!そうだ!忘れる所だった。」成瀬さんが何かを思い出したみたいだった。
「あっ。アレか!!」兄ちゃんはわかったみたいだけど‥‥‥‥‥。
「なんですか?」ちょっと迷惑そうに未来が聞く。
「はぁ?良い話なのに教えないぞー!」成瀬さんが意地悪っぽくニヤつく。
「教えてください。」面倒くさそうに未来が言う。
「まぁー教えたる。隣‥‥‥今日、引っ越ししたよ!」
「えっ!マジ??」
「マジ!マジ」
「龍輝!ここに引っ越そ?!」目をキラキラさせて言ってくるが戸惑う。
「‥‥‥‥‥‥。」
「いや。って言っても決めるけど!」
「はぁァァァ!」
「ここが良いって。よく考えろ。頻繁にこのマンションに通っていたら近いうちに稜輝と成瀬さんがバレる。ここが俺等の家なら怪しまれないからバレない。すぐに集まれるし一石五鳥ぐらいの価値がある!」
「五鳥も?」おかしくて笑う。
「家賃タダだし!」
「エッ!なんで?」ビックリして声が大きくなる。
「このマンション俺のやから!」
「有栖川の?」
一瞬、恐い顔になったが表情はすぐに緩む。
手を振り「ちがう。ちがう。株で儲けたお金で資産運用のために建てた。管理はMRでやってる。」
数秒絶句する。
「普通だろ俺も持ってるし管理はMR」成瀬さんが何でもないように言う。兄ちゃんまで「俺も持ってた。家を出る時にMRに買ってもらった。」
何?この3人の次元が違う気がする。
「だから、ここに引っ越すぞ。直ぐにリフォームいれる。ほぼ、直そうか〜楽しみだな龍輝!」
「あっ。うん。」
「いいなぁー。この部屋もリフォームして良い?」
「リフォームするなら買い取れよ!」
「あ〜。別にいいよね?」
「前から購入したいと思ってたんだ。」成瀬さんが言って未来がニヤっとする。商談成立したみたいだ。
未来がやり手の不動産屋さんに見えておかしかった。
見合いの作戦は数分しかしなかったけど、今日はお開きになり未来と2人で帰宅した。
未来が何の戸惑いもなく俺の部屋にただいまーっと入る。