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第26話 お見合い当日

あぁ~~。のびをしてカラダを起こす。横に目をやると今日も未来が寝ている。

いよいよ今日かーっと思いベットから降りる。窓の外を眺めると真っ暗な空からポツポツ雨が降っていた。降りはじめたばかりなのかテラスには雨粒の跡がついていなかった。

スマホを出し天気予報を調べる。

ふっ。今から正午まで雨が振り、そこから晴れになる予報だった。俺の心情と同じだったら良いなと1人思って笑う。

顔を洗ってリビングに戻るとソファーに未来が座ってボーっとしていた。一緒に寝るようになって気づいたが未来は朝に弱い。そして、朝が1番可愛い。

ソファーまで行って未来の髪をなぜる。「未来、寝癖ついてるよ。」「‥‥‥‥うん。あとで、なおす。」

「フフフ。未来は朝だけ可愛いいよね。」未来の柔らかい髪を指でクルクルする。


あの後、ちゃんと目を覚まして準備をして2人でいつも通り出勤した。

「なぁ。龍輝?令嬢の名前を知ってるのか??」

「あっ。えぇーっと。河本‥‥‥‥なんだった?」首を傾げて未来に助けを求める。

「麗華!今日、1日で良いから忘れるなよ!」

「れいか。れいか。れいか。大丈夫。入ったと思う。」っと自分のこめかみを指でトントンとする。


嫌な事が待っているからか今日は時間が過ぎるのが早く気づいたら10時40分だった。

「未来‥‥‥‥そろそろ。」未来が腕時計で時間を確認して「もう、10時40分か‥‥‥‥。早いな。」

「俺も今日は時間が過ぎるのが早いと思った。」策が上手くいくのか、まだ不安を隠せない俺を未来が、いきなりガバっと抱きしめて耳元で「大丈夫だ。」っとつぶやく。

それだけで、大丈夫だと思えた俺は単純なんだろうか‥‥‥‥‥。でも、単純でも良い。

「そろそろ行くか??」未来の声に頷く。

執務室を出て地下の駐車場に足を進めた。

運転手には頼まなかった。この件に関して第3者を関わらせない方が良いと思ったからだ。

未来が運転席に乗り込んだので俺はいつもの後部座席に座った。数分で東京ホテルに着いた。


スーハー。スーハー。2回深呼吸をしてから運転席の未来に告げる。

「先に行ってくる。」

「あぁ。」


和食料理店の部屋に入ると、麗華はこっちを見て微笑む。麗華も親父といっしょで、ここは待ち合わせの場所で食事の店は別だと思ってるようだった。

麗華の目の前に置かれたコーヒーカップには一口も飲まずに冷めたコーヒーが波々入っていた。こんな所で飲食はしないわよ!!っていう意思表示なのか。俺が向いに座りコーヒーを頼むと麗華は、ここでコーヒー?っていうような怪訝な表情を浮かべた。店には予約時にコーヒーを持ってきたら込み入った話があるので声をかけるまで部屋にほ近づかないで欲しいとお願いしてある。


店員がコーヒーを持ってきて部屋から出て遠ざかるのを確認してから口を開く。

「この政略結婚についての条件を確認したい。」

こう切り出すと女は、傷付いてますアピールの如く目に涙を溜めて見つめてくる。

「政略結婚なんて‥‥‥そんな‥‥‥‥」

「政略結婚以外何ものでもない。コレが恋愛だと?」

「‥‥‥‥‥。出会いはお見合いでも、そこから芽生える物があるはずです。」気が強いのだろう。さっき溜まっていた涙は、もう引っ込んでみたいでキリっとした目で見てくる。

「たとえ何十年、一緒にいても何も生まれない。」

「‥‥‥‥‥そんな事はわかりません。」

はぁァァァ。しつこい。

「わかり得ます。」

バタン。トン。トン。トン。

ゆっくりした足音が聞こえる。

バタン。戸が開けられ未来が入っくる。未来を見るなり女は自分の手を口元にやり絶句している。

未来も有名人だなー。

「俺はコイツしか愛せない。今もコレからも。」

女はバッと立ち上がり、俺と未来を見て‥‥‥睨みつける。

「こんな事して良いと思ってるの?!しっかり父と祖父に報告します。バカにされたと!一橋商事もあんたらも、終わりね!!」







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