◇ ◇ ◇
一夜明けてようやく事態は落ち着きを見せた。
ネモトシティの治安部隊の奮戦により、残りの巨大虫も
とはいえ街は盛大に破壊されてボロボロ、そこらじゅうに放置されたままの巨大な虫の死体、何より死者が十数人、重傷者も多数出ており、とても手放しで喜べる状況ではなかった。
ちなみに騒動の発端となる事故を起こしたハマグリン化学工業は、全社屋全壊、行方不明の社員が九人、それ以外の社員は全員死亡という
事態の収拾に
「ボランティアはとてもいいことだって聞きました。お小遣いは
格納庫の階段に座ってうなだれるカリオとリンコを、トウモロコシマンのお面を被ったマヨが
一方、MVPモノの活躍を見せたニッケルは戦闘後、即座に医務室に運び込まれた。船医のヤムによると二日間安静にとのこと。
カリオとリンコが見舞いに来ると、ニッケルは脂汗をかいて、うーんうーんと
「……まあ夢にみるよね。私達でもキモかったもん、アレ」
「無茶するよなぁ。実際ヤバかったからマジで助かったけど」
「……ってか! アンタ達なんで出撃させるのよ! 言ってたでしょ!」
怒るリンコの視線の先では、タックとミントンが正座している。
「ま、まさかそこまでとは思ってなかったし、えへへ……」
「……ったく、なんでもかんでもバカ真面目にやりやがって」
カリオはうなされているニッケルを見る。
「今度、一杯
◇ ◇ ◇
――数日後。
夜。地上艦「レトリバー」は、赤土の荒野を走る。
「よし、これで最後か」
その食堂にて。
「あれ? また書類整理手伝ってるの?」
通りかかったリンコがロリポップキャンディーを
「格納庫で見つかった書類があってな。片付けるの忘れてたんだろう。まあ暇つぶしにはちょうどいいと思ってよ」
「ふぇー……」
ニッケルが四冊目のファイルを手に取って開こうとすると、ファイルの中から何かが飛び出してきた。
「おお、びっくりした」
蛾はひらりひらりと飛んで、食堂を出ていく。ニッケルは少し驚いたが、すぐに落ち着いてファイルに書類を綴じ始める。
「あれ? 虫もう平気なの?」
「平気ってワケじゃねえけど、こないだのあのクソデカいのに比べたらなぁ……多少は慣れたのかもな」
「ふぇー……」
リンコは書類を綴じるニッケルの腕をジーっと見る。
(……めっちゃ鳥肌立ってんじゃん。やっぱダメじゃん)
リンコはキャンディーを舐めながら、しばらくニッケルの作業を眺めていた。
(バギー・バギー・ディザスター おわり)
(魔人血戦に続く)