◇ ◇ ◇
「うかうかしてられねえなコレ」
「
サダイタンの
カリオはサダイタンの右の
ギャキィン!
X字の
「む……」
ビームソードの充填部を
(
カリオは再び納刀したビームソードの柄を握る。そして浅く呼吸し剣を抜く。
ギャギキィン!
大の字に放たれる三つの青い剣閃! ウキヨエ流居合術・一瞬三斬ダイモンジ!
ビギギ……ガガン!
先ほどの二撃と合わせて五つの斬撃を受けた関節部はついに
ドタタタタ!
「!!」
悪あがきするかのように、サダイタンの
「ギャリワン・スラッシュ!」
ボンはエクスギャリワンの爪で迎撃砲を破壊する。カリオは飛んできた銃弾を体を
「勇者の出番がなくなったんだが!」
「それどころじゃねえだろボン! こいつ倒れる倒れる!」
ボンとカリオは急いでサダイタンの股下から抜け出す。
◇ ◇ ◇
「サダイタン、
「バカな……膝やられただけで終わりとは! デカすぎたか!?」
激しい
「脱出! 脱出するのだ!」
ハライータはアルミホイル
◇ ◇ ◇
「決めやがったかアイツら」
バシュゥ! バシュゥ!
ニッケルのチョークと高速でドッグファイトしていたサダイタンの護衛ドローン二基が、チョークから放たれたビームに撃ち抜かれ、
そしてすぐ近くに立っていたサダイタン本体が倒れ始める。残った護衛ドローン達は制御を失ったのか、力なくふらつきながらぼとり、ぼとりと墜落していく。
「やべえ離れねえと」
ニッケルはチョークを回収し、低空飛行でその場を離れる。
一方、別の位置に移動し、再度援護射撃を行っていたリンコもサダイタン本体の無力化に気づく。倒れていくサダイタンのの口が再び光を放ち始める。
「え、また!?」
リンコは慌てて乗っていた岩から降りて陰に隠れる。間を置かずサダイタンの口の高主力ビームが放たれる。
ギュコォーン!
……
「……びっくりしたぁもう」
◇ ◇ ◇
ガコン! バシュゥー!
「!?」
サダイタンの足元から抜けたばかりのカリオとボンは、倒壊したその巨体から何かが飛び出したことに気づく。
「デカい……飛行機かアレ!?」
「脱出用か!」
サダイタンから飛び出してきたのは、少しずんぐりとしたフォルムの飛行機。ハライータとゴロゴロ団の部下達はこれで
「またすげえ
「マズい逃げられる! 聞こえるかカブーム博士! スカイパックを出してくれ!」
ボンは通信機に叫ぶ。
「わかった!」
アキタタウンの
バシューン!
地上の格納庫出入口が開き、中からカタパルトで何らかの機械部品の
「これ持ってて」
「お? おう」
ボンはエクスギャリワンの背中のビームキャノンを取り外すとカリオに渡す。その数秒後。
ドスン!
カリオとボンの目の前に何かが落ちてきた。先ほどカブーム博士が飛ばした機械部品の塊――「スカイパック」だ
「ふんぬ、ふんぬ」
ボンは器用にゴロゴロしながらスカイパックをエクスギャリワンに
「おお……」
「よし、行ってくる」
「そういうのってもっとスタイリッシュに
「アニメの見過ぎだぞ。現実と夢を見ろ」
ドシュゥーン!
大型ビームキャノンを持ったままのカリオを置いて、ボンのエクスギャリワンは空へと飛び上がった。
◇ ◇ ◇
「ハライータ様! 後方からエクスギャリワンが接近してきます!」
「バカな!? この飛行機についてくるのか!?」
町が豆粒に見えるまでに高度を上げたゴロゴロ団の飛行機に、スカイパックを装着したエクスギャリワンが猛スピードで接近する。
ドタタタタ!
飛行機は後方に
「地獄に着いたら
ギュルルル!
エクスギャリワンは光り輝き、ドリルのように高速回転を始める!
「あ、あああ!」
追い詰められたハライータはアルミホイル帽子のズレを修正しまくる。その脳裏には走馬灯のように過去の出来事が流れていた。
光の矢と化したエクスギャリワンが空を
「ギャリワン・コメットォオオオ!!」
チュドォオオン!
文字通り
通常飛行に戻るエクスギャリワン。ボンは後ろで燃えるゴロゴロ団の飛行機を見つめる。
「悲しき軍団よゴロゴロ団……貴様らと過ごした日々はだいぶ無駄だったが来世では幸せになってくれ」
その日、太陽が輝く空に現れたこの彗星の話は、数年後ボンの
◇ ◇ ◇
「カリオ! カリオ! このバカノポメラニアン、レトリバーで
「人んちの犬なんだからダメだ」
「バカノポメラニアンじゃねえ! バトルポメラニアンでボンだ!」
地上艦、レトリバー。その食堂でボンは、艦で預かっている少女、マヨ・ポテトに
「なんで勇者の俺がガキのお守りを」
「カリオ、このポメラニアンひょっとして口悪い?」
マヨは「お
カブーム
しかしゴロゴロ団の配下の生き残りは解散後、早くも複数の新たな盗賊団に分かれて怪しい動きをし始めたという。ボンはまたすぐに戦いの日々に戻ることになりそうだ。
というわけで町の防衛と
「この勇者が追加報酬扱いとは……!」
「……結局勇者ってなんなんだ?」
「勇者が何かは自分で決める……!」
ぶつくさ言うボンの首に、マヨはリード付きの首輪を器用にはめる。
「
「おい待て十五分前に帰ってきたばかりだぞ!」
ジタバタするボンを
「仕方ねえ、ちょっと付き合ってくる」
カリオはため息をつくとマヨに続いて
「結局、妙ちくりんな仕事だったけど結果オーライだねぇ」
「まあそうなんだけどよ……今のうちにまともな仕事探しておくぞリンコ。今度は
「今日ぐらいゆっくりしよーよー。明日からでいいじゃん」
(名犬勇者エクスギャリワン おわり)
(霊魂のねぐら、うろつく咎人 へ続く)