◇ ◇ ◇
――
カリオ、ニッケル、リンコ、そして
――レトリバー中破。そのクルー、四人が死亡。マロンナ・モンブラを含む九人が重傷で予断を許さない状態。軽傷者多数。
すぐに行動を起こさなければならない。
「……」
カリオは立ち上がって医務室に入り、マロンナの横たわるベッドの横でしゃがむ。自分の顔と同じ高さにあるカリオの顔に向かって、マロンナはか細い声で話す。
「ごめん、私、あんな
「必ず助け出す」
カリオは小さく、しかし力強く答えた。
「おばさんも助ける」
「少しばかり、気力は残ってたか」
後ろからした声にカリオが振り向くと、艦長のカソックが立っていた。その
「キクチシティが近くの街に
「ああ」
カソックに対して
「……ニッケル、リンコは動けるか?」
廊下に向かってカソックが声を投げると、二人は顔を上げた。
「やれるぜ」
「やれるよ」
カソックは二人の声を聞き、再びカリオの顔を見ると、話し始めた。
「――仕事の
「……!!」
三人は目を見開いて
「依頼人はカミヤシティ市長、トロン・ボーン。救援の地上艦に乗ってこちらまで来るそうだ。より
「……だな」
カソックの話を聞いたニッケルが
「……依頼を出すまでの動きが早すぎる。コレスとかいう奴に関して何か知っているな」
「……マヨについても何か知ってるんじゃない?
いつになく目をぎらつかせながらリンコが
「カリオ」
少し心配そうな表情で、マロンナはカリオの名前を呼ぶ。
「……らしくねえよ、そんな不安そうな顔は。マヨの事は俺らがなんとかする。だからおばさんは
カリオが真顔で
「カリオ」
今度はニッケルがカリオに声をかける。
「……大丈夫か? 今、一番
リンコも心配そうな視線をカリオに向ける。カリオは表情を変えないまま答えた。
「……大丈夫さ、それに一番なんてこたぁねえ。みんなも
――少し無理をして答えた。正直参っていた。二年前、俺から大事なモノを
ガキの頃から修行して、必死でモノにした
なあ、何でこんなことになったんだ? マヨも、ルースも何も悪いことしちゃいない。痛い目を見るのは
どこか間違えたのか? どうすればよかったんだ?
――どうすればマヨは攫われずに済んだ?
――どうすればルースは死なずに済んだ?
頭と胸の奥でリフレインする問いに誰も答えてはくれない。
前を
◆ ◆ ◆
(マヨ・ポテトの災難EX⑦ へ続く)