◆ ◆ ◆
「……やっぱ
ジローの額にじわりと
「では今から出す質問に答えてもらおうか。場合によっては撃たずに済むかもしれん」
兵士達の後ろから声を投げたのはコレスだ。一切の
「まさか本当に
「――子供だ。女子。おまえの部下の女が
それを聞いたジローは
「何考えてんだアンタ」
「それを教える必要はない。さて、その反応は行方を知っているな?」
「……お前達が来る前に建物を出た。この
ジローの返答を聞くと、コレスは目を細める。
◆ ◆ ◆
ガガガガガ!
町の南西、
「あいつら、
「……
カンタローとカリオはそう話しながら、頭部の無くなったハヤトのクロジを見つめる。
「のんびり話してる場合じゃねえ、瓦礫の壁なんてもう持たねえぞ!」
ユーリの言う通り、ビッグスーツ用のサブマシンガンは、コンクリートの瓦礫を
「時間がねえ、合図したら三方向に散るぞ。俺は北、ユーリは北東、カリオは北西。行けるか?」
「やるしかねえ、
「同じく」
カリオとユーリの返事を受けて、カンタローはすぅっと息を吸うと秒読みを始める。
「三、二、一!」
ボロボロと崩れ落ちていく瓦礫の壁の後ろで、三人のビッグスーツが身を低くして、
「ゴーゴーゴー!」
「……!!」
カリオとユーリは同時に気づく。北へ、と言っていたはずのカンタローは敵に向かって突っ込んで行く。
「何やってんだカンタロー!!」
ユーリの声が無線機から聞こえてくるのも構わず、カンタローはサブマシンガンを連射しながら敵の
(バカ二人が……誰か
ガガガガガ!
襲撃者達の放つ銃弾が、カンタローのクロジの
(まあ今更そんなこと考えたって仕方ねえ。頼んだぜ。カリオ、ユーリ。へへ、
視界が
……
…………
…………
――――
「――クソッ、ふざけたマネしやがって」
アイカメラの光が消えていく味方の機体を見下ろしながら、襲撃者の一人が
カンタローの
「まだこちらは八機残っている……とはいえさっきも言ったが油断はするな、こうなる。
ドォン!
襲撃者達の視線の先、町の中へまたロケット弾が着弾する。炎と
◆ ◆ ◆
「ここに入ってて、じっとしててね。お願い」
「ルース、ジロー……ジローは」
「大丈夫。ただ
灯りの少ない広い倉庫の中、
「およ!? ソラマメ!」
扉の中に入ったマヨは、その広くはない空間に入れられた作業ロボ、「ソラマメ」に気づく。マヨとソラマメ以外にこの空間に人は入れなさそうだ。
ルースは倉庫内のプレハブの
(操作方法……あった、この
金属扉の横の操作パネルをルースは手早く指でタッチしていく。その時、ガチャンと別の金属製の扉が開く音がする。わざとらしく普段は立てないであろう足音を鳴らしながら、銃を構えた兵士達が倉庫の中を見回す。
「……!」
ルースの
「その女は撃つな。ルース・サテールだな?」
兵士達の後ろから
「……コレス大佐ね。お会いできて
「立場は問題ではない。役割が大事だ。その後ろにいるのがエシュルだな?」
コレスはルースの後ろの金属扉に視線を移す。中から
「物知りね、デリカシーないったらありゃしない。この子をどうするつもり?」
「先ほど殺したお前の上司も同じことを聞いて来たが……教える必要はない」
「……!! あなた、ジローさんを……!」
「ルース! 逃げるです! ルース!」
マヨがバンバンと中から扉を
「……
「人の上司殺した上にこの子をガキ呼ばわりして無茶苦茶言うわね! ナンパ下手くそ過ぎて、ああ、もう、殺したい」
ルースは毒づきながらコレスを
「……あなたみたいな人からこの子を守るつもりだったのに。『マヨ・ポテト』って新しい名前で、超人でも
「感情的になるなよ。エシュルの可能性と君の命を考えればこちらについてくるのが正解なのはわかるだろう?」
コレスは鼻で笑う。
「さあ、エシュルをその中から出してついてこい。そんなに私も待てないぞ」
……ルースはボトムスのポケットの中のリモコンに意識を向ける。
(マヨ・ポテトの災難EX⑭ へ続く)