「今回の標的、コレス・
立体映像プロジェクターが、ブロンドの
「一般人の犠牲を
トロンの説明を聞きながら、ニッケルは鼻の先を指でさする。
「『ドーンブレイカー』ねえ……戦中から何か
ニッケルの言葉を聞いて、トロンが答える。
「今となっては
「……早く頭吹き飛ばさないとカラダに悪そう」
リンコは破壊されたホシノタウンの情景を思い出し、イライラした様子で腕を組み、指をトントンと動かす。
「……最終的に何を目指して行動しているのかはわからん。最悪
「プルツ・サンデ?」
プロジェクターが別の立体映像を映し出す。通常のビッグスーツと比べて四倍近い全幅を持つ巨大な機動兵器だ。カエルのようなずんぐりむっくりした
「これまたヤバそうな……マヨがイニスア文明の人間だとか言ってたが」
話すニッケルの横でカリオは立体映像をじっと見つめる。
「コレスがそう言っていたのか。君達が保護していたマヨ・ポテトは……」
トロンは少し
「カリオ君の知人、ルース・サテールの
「ルースって、カリオの恋人だった……」
リンコが
「SFみたいな話だが、コールドスリープ状態で発見され、目覚めた後も健康状態は悪くなかったらしい。そして彼女はただの生き残りじゃない。伝説となっている『イニスアの
ニッケルはそこまで聞くと、頭をぼりぼりと掻いた。
「すまねえ、その……俺達は伝説として聞いているだけで、実際の『イニスアの囚人』がどんなものかはっきりと知らねえ。そこを教えてもらえることはできるか」
「わかった。その
プロジェクターの映像がまた切り替わる。七人分の顔写真と、ビッグスーツのような人型機動兵器のモノと思われる資料、複数の文書が映し出される。
「この大陸で四千年前に
「……!! ねえこの
リンコが顔写真の一つを指さす。銀の
「カリオはその時気を失ってたから見てないか。コイツがクロキシティの任務の時に襲って来た赤い機体のパイロット――確かイルタと名乗っていた女だ」
「コイツがか……こんな
カリオはじっとその顔写真を見つめる。今思い出しても、あの赤い機体――フライデの非現実的な戦闘能力には
「君達がその戦闘後にいくつかの街に共有してくれた情報、私も受け取って調べていた。そう、その女性がイルタ。
先の任務で彼女と実際に戦った三人の傭兵達は、それが決して
「……待て、こっちの、コイツは……モリオカタウンの!?」
カリオが別の顔写真の一つに指をさす。間違いなくモリオカタウンでの任務で出会った青年、ウド・エバッバだった。
「そちらにも会ったことがあるのか?」
トロンは少し驚いた様子で、ウドの写真に視線を移す。
「以前、任務でたまたま会ったことがあるんだけど……」
「……そいつが『シャマス』だ。マヨ・ポテトと近しいとされている人物」
「!?」
レトリバーの四人は一斉にプロジェクターに顔を近づけて、ウド・エバッバ――「シャマス」の写真を食い入るように
「こいつが……」
「……マヨと!?」
「シャマスは機械・道具を
「エメトを操作する?」
カリオが具体的なイメージを
「例えばビッグスーツの武装において高級品のビームソード。エメトを刀身の形になるように
それを聞いたカリオはトロンに問う。
「……もしかしてマヨも、同じ力を持ってるっていうのか」
「……そうだ。なんとかサルベージできた第九技術研究所のデータを見るに、可能性は極めて高い」
カソックは
「聞きてえことが山ほど出てきたが……とにかくはコレスを止めねえと。マヨを利用されてプルツ・サンデって奴が起動しちまったらどうなるんだ?」
ニッケルがトロンに聞く横で、カリオとリンコも戸惑う気持ちを抑えようと、トロンの説明に集中する。
「プルツ・サンデは言わば、シャマスやマヨのような能力者の力を増大させるブースターだ。スペックの全てが明らかになったわけじゃないが、少なくとも半径数キロの
(マヨ・ポテトの災難EX⑲ へ続く)