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オオクボシティから南西へ五キロ、そこにあるツッパル
「あれがコレスの基地か、かなりデカいな」
三機の黒い機体のうち、二機のコイカルに乗っているのはニッケルとリンコ、残り一機のクロジに乗るのはカリオである。
「先方が実弾・
ニッケルは実弾ライフル、リンコは実弾スナイパーライフル、そしてカリオは
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数時間前、トロン・ボーンとのブリーフィング中。
「先の戦いでわかる通り、コレスの乗機『シトド』にビーム兵器は通用しないとみていい。加えて、敵方はそれをまだ数機所有していると思われる」
「マジか……」
トロンが仕入れた情報をもとに説明するのを聞いて、レトリバーの三人の
「加えて、別種のバリア装備を備えているらしい。とはいえ実体装備を用いれば戦闘は格段に楽になるはずだ。こちらで用意してある。届くにはもう少し時間はかかるが」
「え、別のバリアあるの? いやーキツイような……」
とはいえマヨの救出を急がなければならない現状、策を
「先ほど言った通り、プルツ・サンデの
レトリバーのクルー達はプルツ・サンデの立体映像を見つめる。エメトはビッグスーツ乗りにとって少なからず
「ねえ、トロン。一つ、聞いてもいい?」
そうトロンに声を投げたのはリンコだった。
「……マヨの救出、成功したらさ、その……マヨはその後、どうするの?」
それは確認しておかなければならないことだった。任務には直接
家族ともいえるクルーのこれからのこと。
トロンは全員の目を順番に見て、答えた。
「……正直に話そう。傭兵を
トロンはそう言って目を閉じる。
「勿論、彼女を
レトリバーの四人は正面からその言葉を飲み込んだ。気づいていた。マヨと出会った日から、いつかはこうなる日が来るということに。それでもその唐突さに、
◇ ◇ ◇
「んあ……」
マヨ・ポテトは大きな欠伸をしながら
いつもなら陽気なクルーが行き交う
「……?」
不思議に思いながらマヨは目を
「……?」
ドアを開けたマヨは目をぱちくりさせる。石のような白壁、白い照明で照らされた空間。後ろを振り返ると、さっき出たばかりのはずのレトリバーの個室はどこにも見当たらず、広い廊下のような空間が広がっていた。
「ここにいたのかエシュル」
マヨが声のした方を振り返ると初老の男性が近づいてきていた。ゆったりとして、無地でシンプルなデザインの布の服を
「そろそろ時間だ。お兄ちゃん――シャマスの方はもうすぐ初仕事だ。マヨも
(これ……)
マヨの頭の中で、急に
(これ……シャマス兄ちゃんと一緒にいた
キュイイイイイ!!
「!?」
マヨは驚きながら周囲を見渡す。すぐそこに小窓があるのがわかる。マヨはそこから外を
すぐ目の前に、黒髪のルーズサイドテールの女性、奥には
(あれ……私、この人達、知ってるです……?)
女性がこちらを振り向いた。窓の外から
(……ルース?)
マヨは唐突に、自分でも気づかぬうちにその名を口にした。
その人のコト、その時起こった出来事を、
――少女は思い出した。
「ルース!!」
パ ン
マヨがルースの名を
◇ ◇ ◇
「
「よし、試運転を始めろ」
武装勢力ドーンブレイカーの基地。その
「二年近く遠回りしたが、まあよい。その性能が本物ならば大陸の半分は俺に
プルツ・サンデが駆動音を上げながら、緑色のカメラアイを光らせた。
(マヨ・ポテトの災難EX⑳ へ続く)