「おい、大丈夫かよ。変なとこ入ったか?」
スケトはゴホゴホと
「ごほっ、そんな
「ほら、この街って色々な職人がいるので有名だろ? あそこのデカい工場だってクソ有名なビッグスーツ職人、トーグリ・タンプルが
スケトは街の正門側を指さす。その先に見える大きな
「ま、まあアレです、あくまで噂ですし、ブラックトリオは
「確かになぁ。でも思いっきりホワイトな街とか企業側についてるからさ、マフィアとかにはかなりの
タニシャはむせた。スケトはゴホゴホと
「おめえ大丈夫かよ、
「いあ、大丈夫ですゲーッホゲホ!」
なんだかんだしながら二人はカニチャーハンを平らげて、
◇ ◇ ◇
タカハシシティ、正門前。
二体の人型戦車(ビッグスーツより前の世代の人型機動兵器)が、長い
ナツト・ウダラはそのうちの一体のコックピットの中で
「息子の
通信を
「あいつだってもう十歳だ。親離れしていい頃だろ」
「俺はまだ何も言ってないぞ。さてはちょっと後ろめたい気持ちがあるな?」
「人の家の事にうるせえ奴だ」
声が少し
「シフトなんていくらでも代わってくれるヤツがいるんだから、もっとガキに構ってやった方がいいぜ。子供なんて俺達が仕事を二つ覚える間に背が倍になっちまうんだからよ」
「ご忠告どうも。俺は大丈夫だ」
そっけないナツトの返事を聞いて、コマイは肩をすくめた。
彼の事情は知っている。
ナツトの故郷だった町はもう存在しない。町を統治していた連中が内紛を起こし、発生した戦闘が原因で壊滅したのだ。まだ子供で、着の身着のまま家族と共に逃げ出したナツトは、財産の
門番の仕事はタカハシシティに避難してきたまだ子供の頃から始めたものだ。妻子が出来た今、彼は大して休みを取らず、門前に立って地平線を
そんな彼にもっと肩の力を抜いて欲しいと思うコマイだったが、無理強いはできない。コマイは胸ポケットから
◇ ◇ ◇
「なあ、マジでタカハシシティを襲撃するのかよ」
日差しが照り付け、サボテンが点々と生える荒野。走る数隻の地上艦の内の一隻、その甲板で棘付き肩パッドを付けたガラの悪い男がそう聞いた。
「あんなデカい街襲撃してよぉ、反撃とか報復とか怖くねえか?」
聞かれた丸ゴーグルを付けた
「何回かこのやり方で上手くいってんだ。成功すれば実入りはデカいぜ」
彼等がお
その地上艦の艦長室で、一人の
「予定通りの時間にタカハシシティを
そう通信機に言葉を投げた豪華な椅子に座った地上艦の艦長――バッケ・ダヌキは咥えた葉巻を吸う。
「いいのかい、アンタを巻き込まない保証はないぜ?」
煙を吐きながらバッケがそう話すと、嫌らしい感じのする声が通信機のスピーカーから返って来る。
「私の事はご心配なく。それより
はいはい、とめんどくさそうに返して通話を切ると、バッケは腰を上げて葉巻の火を消し、部屋の外へ出た。
(GET READY FOR SECOND JAM③ へ続く)