突然現れた黒い機体に、ナツトとコマイは
「なん……だ……? 助かったのか?」
コマイは戦闘中であることも忘れて口を半開きにする。一方、ナツトの方も
「……新手……味方……なのか」
「……艦からすぐに脱出しろ。後続の艦はビッグスーツの発進準備」
バッケは淡々《たんたん》とした声でそれぞれの艦に乗った部下に指示を出す。その視線は
(見たことがない。ワンオフ機か……タカハシシティにはトーグリ・タンプルがいる。ワンオフ機がいる事自体はおかしくないが)
バッケはサブマシンガンのグリップを
「楽な仕事にはなりそうにねえな……」
◇ ◇ ◇
「なんだあの黒いの……父ちゃんの味方なのか……?」
スケトが状況を呑み込めずに突っ立っていると、出てきた通用口の方から自動車の駆動音が近づいてくる。
「いたー! スケト見っけたですー!」
聞きなれた女子の声に、スケトは通用口の方を振り返る。通用口の近くに停められた自動車を降りて、走り寄ってきたのはタニシャだ。サイバーサングラスの文字が「
「やっぱり父ちゃんの様子見に行ってたです! 油断ならねえです! クソガキ!」
「ば、
「話は後にしろ! そこは
スケトがタニシャに
「タニシャ、アレ誰だ?」
「え!? えーとえーと」
「マヨ! まだるっこしい話は後だ! 離れるのが先!」
「マヨ!?」
「え、えーと、大丈夫! タックは
「不安だなあ!?」
そう言いつつもスケトは予想だにしない事態の連続に、流されるように従うしかなかった。車はタニシャとスケトを乗せると急発進してその場を離れる。
他の市民は
「マヨ! その子がお前の言ってたダチか?」
「タック! わたすのことは今〝タニシャ・メークイン〟ってことにしとけって言ったのはタックですよ!」
「どうせこの車の行き先でバレるだろ、その辺りの話は後で考えようぜ」
「え、何? 何?」
スケトはタニシャとタックという青年が話すのを聞いて混乱する。
「とにかく工場にいれば安心だ。マヨも見たろ? カリオの奴が帰ってきた。ギリギリセーフだったけどよ」
「おお、あの黒いのやっぱカリオでしたか。見たことあるロボだと思って――のわぁ!?」
突如、タックが運転する自動車が段差に乗り上げて、激しく
「おあ……」
「タ、タニシャ……お前、素顔が」
タニシャの素顔があらわになるのを見て、スケトは目を丸くする。
「え、えっと、その顔……配られてた手配書かなんかで見たような……気のせいか? ってかマヨって……もしかして、マヨ・ポテト……」
「……へへへ……」
タニシャ・メークイン、改めマヨ・ポテトは苦笑いしながら目を
◇ ◇ ◇
ブォン!
黒い機体は高速でバッケに突撃し、
ズダダダダダ!
超重量の武器による攻撃の直後にも関わらず、黒い機体は素早く
「……なんだコイツは」
バッケは同じ言葉を繰り返した。
「そりゃこっちの
眼前の黒い機体から男性の声が返ってくる。
「割と本気で
バッケは男の返事を聞きながらその機体を見つめる。黒い色、種類は異なるが
「おまえ……まさか〝ブラックトリオ〟のカリオ・ボーズか?」
黒い機体のコックピットの中、シートに座る
「こっそり戻ってくるつもりだったのによ。派手にやってくれやがって」
カリオは大剣をバッケに向けて構えた。
(GET READY FOR SECOND JAM⑥ へ続く)