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穴 その1 目がさめたらそこには穴があった

私「はっ?」


 私、ベッドから目を覚ます。


美雪「第二十四層よ」


私「……コンビニの」


ベルシュタイン「違いましてよ。二十四時間営業ではなくて、この部屋の階層のこと言ってるの」


私「……穴か」


美雪「穴よ」


萌美「何を食べるのかが問題だよ。お姉ちゃん。じゅるり……」


美雪「萌美ちゃん。人間は食べ物じゃないのよ?」


私「穴で何が起こるの?」


美雪「明らかよ。――食うのよ」


ベルシュタイン「二十四層はラッキーよ。一カ月はずっとここにいられるから」


美雪「きたっ!」


ベルシュタイン「きましたわね」


萌美「やったぁ!」


私「いったい何が……?」


 穴から食べ物が降りてくる。


美雪「よっしゃ! 食うわよ!」


ベルシュタイン「いただきます」


萌美「うわああああああん!」


私「これ、上の階の食べ残しじゃないの?」


美雪「ひょうよ」


私「汚いんじゃない?」


美雪「しゅかたないじゃない。食べなきゃ飢え死にするんりゃもん」


ベルシュタイン「私は食べ残しは食べませんけど」


私「…………」


美雪「たべにゃいの?」


私「食欲が……」


ベルシュタイン「気持ちはわかりますわ。でもいつか空腹には勝てなくなりますわよ。あっ、萌美ちゃん、この食べ残し、新品に直して」


萌美「はぁ~い」


美雪「あにゃたも食べないとににゅわよ」


私「あとで食べます」


美雪「そっ、あ~食った食った。萌美、残りいいわよ」


萌美「やったぁ! ああああああああああああん!」


ベルシュタイン「ごちそうさま」


美雪「ふう。安心して。人数は減っていくから」


私「それはどういう……」


美雪「下を見てみて」


私「下? うっ?」


 下、人骨が広がる。


美雪「萌美ちゃんがここで全部食べちゃうから、ここから下はみんな飢え死にしてるわ」


萌美「あむあむ。おいちー!」


私「残してあげないの?」


美雪「明らかよ。あなたもいつかわかるわ。ここがクズの集まりだってね」

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