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教義

 教会に戻っていくギン達とルルー、町中を歩いて教会に辿り着くと司祭と信徒たちがギン達を出迎え言葉を掛ける。


「無事でしたか、ルルー。旅のお方も本当にありがとうございます」


 司祭の礼の言葉に軽く返事をしてギンが話を進めようとする。


「いえ、それで司祭殿、先程のことですが……」


 ギンが司祭と話を進めようとしている時にルルーが間に入って司祭に言葉を告げる。


「司祭様!お話がございます。よろしいでしょうか?」

「何でしょうか?」

「私をコッポにある彼女の村までの遠出の許可をください。お願いいたします」


 意外にもルルーからエイムの村への派遣を願い出る提案に一同は困惑する中、ブライアンがルルーに言葉を放つ。


「何だ?突然、さっきまでと言ってることが違うじゃねえか。まさかお嬢ちゃんに情が移ったとかか?」


 ブライアンの指摘が図星だったのか少し不服そうな表情でルルーが言葉を発する。


「そ、そうよ。悪い?それに私なりにミッツ様の教えを私なりにもう1度考えてみたの」


 ルルーの言葉に司祭がどのようなことかを聞く。


「どのように考えたかお聞かせ願いますか」

「はい、救いを求める者を見捨てない。それがミッツ様の教えです」

「そうですね、それをどのように考えたのですか?」

「私は最初フィラー教徒の多い、コッポでの治療活動に抵抗があったのでせめて見捨てないという教えに反しない為に薬屋を紹介することとしましたが、それで彼女にそれでは不十分と言われ私に迷いが生じました」


 ルルーは息を飲み自分の思いを司祭に話す。


「その態度は彼女に不安を与えてしまいました。ですが彼女はそんな私に……」


 一瞬言葉が止まりルルーの目に潤みが見える。


「そ……んな私に対して感謝の言葉を……述べてくれたんです……、自分のことを考え……迷ってくれた……と」


 ルルーは再び言葉を止め、目をぬぐいはっきりとした口調で司祭に話す。


「だから彼女を救わなくては、いえ、救いたいと思いました!だから私にコッポまでの遠出の許可をお願いいたします」


 ルルーの申し出に司祭は優しく微笑み、エイムは感激のあまり言葉と涙が溢れた。


「ルルー……さん…」


 そしてルルーの申し出に対し司祭が言葉を掛ける。


「ルルー、あなたからそうおっしゃてくれて私は誇りに思います。あなたがミッツ様を信仰しその教えを忠実に守ろうとしていたことは素晴らしいです。ですがそのあまり教え以外の大事なことが見えなくなっていた」

「あの司祭様、私が見えなくなっていたこととは?」

「あなた自身もすでに感じているはずです。誰かを心から救いたいという意思です。あなたはそれを思い出した」


 ルルーと司祭が会話をしている中、エイムがルルーに駆け寄る。


「ルルーさん!本当にありがとうございます!なんとお礼を申し上げればよいのか」


 エイムは感激のあまり涙が溢れながら感謝の言葉を述べる。その言葉に対してルルーが返事を返す。


「まだお礼は早いわよ。早くあなたの村に向かいましょ」

「はい!」


 こうしてルルーはギン達と共にエイムの村へ向かうこととなった。エイムの父は助かるのか?

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