コッポにあるエイムの村へと向かう決意をしたルルーは自室へと戻って旅支度を始める。ルルーが旅支度をしている間、ギン達は待つこととし、ギンがエイムに声を掛ける。
「よかったな、村まで来てくれることになって」
「はい、後はルルーさんを信じることですね」
ギンとエイムが会話している中、ブライアンがギンを茶化すように言う。
「何が『よかったな』だ。結局お前がしゃしゃり出なくてもお嬢ちゃんの言葉であの女聖職者は来てくれることになったじゃねえか。俺頑張りました感をだしてんじゃねえよ」
ブライアンとすれば少し湿った空気を緩和するため半ば冗談でギンに声を掛けたが、ギンの表情は若干不服そうだ。そんな中、司祭がギン達に声を掛ける。
「いえ、ギン殿はきっと私の考えを見抜いていたんでしょう」
司祭の発言にエイムが疑問を感じて司祭に尋ねる。
「司祭様、どういうことですか?」
「エイム殿、魔物の襲来の知らせの直前に私があなたに告げようとしたことを覚えていますか?」
「ごめんなさい、あの時混乱していたのでよく覚えていません」
「実はあの時、私自らあなたの村に赴き、あなたの父上の治療をしたいと告げるつもりでした」
司祭の考えにエイムは驚き、さらに聞く。
「じゃあギンさんは司祭様の考えが分かったうえで、あの提案をしたってことですか?」
ギンの方を一瞬向いてエイムは言葉を発し、司祭がエイムの疑問に答える。
「ルルーが防衛を引き受けていたうえ、私が赴くとなると負担が我らに多いと思い、交換条件のような言い回しをされたんでしょうね」
「それもあると思いますが、ギンさんはただルルーさんが1人で頑張っているのを見過ごせなかったのではないかと思います」
エイムの返答に司祭が聞き返す。
「どうしてそう思うのですか?」
「ギンさんはこちらのブライアンさんの時も救うために身を呈しましたし、短い時間しか過ごしていませんからどうしてと聞かれると困るんですが、そういう人だと私は思います」
エイムの言葉を聞いた司祭は納得した表情で返事をする。
「そうですか」
ようやくルルーの旅支度が終わり一同に声を掛ける。
「お待たせ。出発しましょう」
一同の前に姿を現したルルーに司祭が話す。
「気を付けてください」
「はい、では司祭様行って参ります」
そう言ってルルーは教会を後にし、ギン達も教会を後にする。