コッポに帰国したギン達、いやブライアンとルルーにとっては入国だが、ともかく4人は現在コッポに居て移動中の馬車で会話をしているようだ。
その会話でルルーがギンに何かを尋ねている。
「ねえ、ギン」
「何だ?」
「確か、ギンはエイムから依頼をされて護衛を引き受けたのよね」
「そうだが、いきなりどうしたんだ?」
「あなたが傭兵……」
その言葉の続きを言おうとした瞬間、ギンの表情がこわばり、それに恐怖したルルーはごまかすように言葉を言い直して話した。
無論ルルーは傭兵バカと言いそうになったのだが、ギンが怒るのを察して躊躇したのだ。
「あなたが仕事熱心なのは分かったわ。でも話を聞く感じじゃ結構あの子に対して親身に接しているようだし」
「お前がそう思うのは構わないが俺はなんとしてもこの依頼を果たさなければならないんだ」
「大金が入ってくるから?」
「金ではない。ある奴を彼女の魔力感知で探してもらいたいんだ」
初めて聞くギンが望む報酬にルルーは驚きを隠せないようだ、声が聞こえたブライアンも反応を示す。
「魔力感知⁉どういうことなの⁉」
「そういえば、そんな話初めて聞いたぞ。ちょっと詳しく話せ」
ルルーとブライアンに尋ねられてギンは自分の身に起きた出来事を説明する。
ギンが以前の依頼で魔法を使う剣士と戦闘になったこと。戦闘に勝利し、剣士を拘束しようとしたところ剣士の体が突如燃えたことを説明した。
その説明を聞いたブライアンとルルーは驚愕する。
「あなたにそんなことがあったの」
「とんでもねえ話だな、狙われる心当たりはねえのか?」
ブライアンに尋ねられギンは返事を返す。
「狙いそうなやつに心当たりはないが、俺が魔法剣を使えるってことを知って狙ってきた可能性がある」
魔法剣という言葉を聞いてまたしてもブライアンとルルーは驚愕する。
「あ、あなた魔法剣が使えるの⁉」
「そういやあ前に牢屋を剣でブチ壊していたけど、あれもそうか?」
2人の疑問にギンは返答をする。
「そうだ、あれは剣に魔力を纏わせてやった」
ギンの説明を聞いてルルーが自身の知る限りの事を話す。
「私が聞いた話だともう魔法剣という技術は駆使できるものがもう希少だと言われてれるの。それこそ軍事利用しようと思う国家があってもおかしくないわ」
ルルーの話を聞いて、エイムが思わず口を挟む。
「そんな、ギンさんを戦争に参加させるってことですか?」
「それでギンを狙った可能性は十分あるわ」
ルルーの話に疑問を抱いたギンが口を開く。
「だがあの時のやつは最初から俺を殺すつもりできていたような気がする。ルルーの言う通りならばまずは交渉から入りそうなものだが」
「うーん、じゃあ、コッポ側の戦力を秘密裏に削る作戦?」
「俺は別にコッポ軍に属しているわけではない。戦力を削るという理由で俺1人をねらうのか?」
「でも、魔法剣は一騎当千の戦力になりうるって聞いたことがあるわ。例え今あなたがコッポ軍にいなくても可能性は摘んでおきたいってことじゃないかしら」
ルルーの話を聞いてギンも思うことがあるのか黙り込んでしまう。そしてその様子を見たエイムは底知れぬ不安を覚える。
そんな中馬車は静かにエイムの育った村へと向かっていく。