ムルカにスールとブロッスは戦争状態ではないが、諜報活動をしていた理由を尋ねられたジエイが理由を話そうとしていた。
「先程も申しましたが、得た情報は陛下のお耳に最初に入れたいのでこうなった経緯のみをお話いたします」
ジエイの言い回しにじれったさを感じたブライアンが思わず言葉を発する。
「いや、もう分かったから。早く本題にいこうぜ」
「申し訳ない。念のため申しておかなければならないと思いまして」
ジエイの言葉を聞いてルルーが少し茶化すように言葉を発した。
「まっ、大雑把な性格のブライアンには理解できない考えでしょうけどね」
ルルーの発言を聞いたブライアンは少し不服そうだが、それを気にせずギンが尋ねなおす。
「それで、何故諜報活動をすることになったんだ?」
「はい、確かに我々とブロッス帝国は戦争状態ではありませんでした。ですが帝国は我々が所持している古文書を手に入れたがっているのではないかという噂があったのです」
古文書という言葉を聞いてエイムがジエイに尋ねる。
「あの、ジエイさんですよね?」
「はい、ジエイと申します」
「ジエイさん、その古文書にはどういうことが書かれているんですか?」
「申し訳ないが内容を今話すことはできません。これも得た情報に関係してるので、ですが帝国にとっては軍事利用できるものとだけ申しておきます」
ジエイが可能な限りの話をする中、ムルカがジエイに尋ねる。
「まさか、帝国の動きを警戒して諜報活動を?」
「はい、ですがスールの人間が諜報活動をしていることが帝国に知れたらそれを口実に攻め込まれます。ですが帝国の動きを放置すればどの道、侵攻対象になりかねません」
「それで諜報活動をしたのだな」
「はい」
ジエイの話を聞いて、ギンが更に詳しく尋ねる。
「具体的にはどのようなことをしていたんだ?」
「まず、私は素性を偽り、帝国のフィファーナ将軍の部隊への潜入に成功しました」
「フィファーナ⁉またしても将軍が指揮する主力部隊が動いているのか」
「はい、なんとしても古文書を手に入れようとしているのがうかがえました」
ジエイは更に得た情報の内容を伏せつつも自分が大けがを負った理由を話し始めた。
「私は帝国の狙いを知り、情報を陛下に届けようとしました。ですが、フィファーナ将軍に私の正体が知られ暗殺者を差し向けられました」
ジエイの話を聞いたギンがジエイにある疑問をぶつける。
「ちょっと待て!あの場所で倒れていたのは?」
「既に彼らが国内に潜入しているということです。私もその潜入部隊の任を帝国軍から命じられ、知らせる好機だと思ったのですが……」
「正体を見破られてしまったんだな」
ジエイの無念さを感じるギン達であったが、ギン達にもまた脅威が迫っている。