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追撃をかわせ

 帝国軍に潜入していたジエイは逃亡中に負傷を負った経緯をギン達に話すが、今度は生きていた理由を問われる。


「しかしあれ程の重傷を負いながら何故生きていたんだ?敵もとどめを刺し損ねるほど馬鹿ではないと思うが」

「はい、実は1度目の攻撃で深手を負ったんですが、煙玉を使い奴らの目をくらまし、逃走したはいいのですが、体力が持たずに倒れてしまったのです」

「そういうことか、そうするとまだ敵は近くにいる可能性があるな」


 ギンの言葉にはっとしたルルーがジエイに対して自分達の馬車に乗るよう促す。


「それじゃあ、私達と一緒に馬車で王宮まで向かいましょう。私達がいれば帝国軍とも戦うことが出来るわ」

「申し訳ない。お言葉に甘えさしてもらいます」


 ジエイがルルーの提案に承諾すると、ギンからルルーに言葉が掛けられる。


「それなら俺がまた手綱を持とう。敵がどこから攻撃を仕掛けてくるか分からないからな」

「ええっ、お願いするわ。悪いわね、少し休んでもらおうと思ったのに」

「俺は特使様の護衛だからな」


 あまり言わないギンの冗談めいた言い回しに思わず笑いそうになるルルーであったが、事態が深刻であった為、笑いをこらえて馬車に乗り込む。


 そういうやりとりの中、ギンがループの手綱を持ち、馬車が動き始める。


 しばらくは何もないように感じるが、ギンが森の中の違和感を察した。


「みんな、何かおかしいぞ」


 ギンの言葉にエイムが最初に反応して尋ねる。


「何がおかしいんですか?」

「わずかだが、俺達以外の動きがあったように思える。さっきより警戒を強くしてくれ」

「はい、分かりました」


 エイムが返事をすると他の者も周りへの警戒を強める。そしてギンのもとになにかが放たれた。


 短剣のようなものがギンに向けて放たれるが自身の剣で叩き落す。


 その様子を見たジエイがギンに呼びかける。


「ギン殿、私を狙った暗殺者の短剣です。私も外へ出ます」

「だが帝国が狙っているのはお前だろ!何故わざわざ外へ出るんだ⁉」


 ギンの言葉をよそに突如目を閉じ集中をし始めたジエイ。次の瞬間、3方向に短剣を投げる。その方向には暗殺者たちがおり、3人に短剣が突き刺さる。その様子にギンは驚き、感嘆してしまう。


「すごい、だが今のお前はすぐに敵の居所を察知した。一体どういうことだ?」

「説明は後です。どうやら主役のお出ましのようです」


 多くの兵が森の名から現れる。それを指揮していたのは女性であった。


「久しいのう、ジエイ」


 果たしてこの女の正体は?

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