プレツの街中の戦闘で魔導騎士団の一員であるプラナを退けたギンは、魔力を消耗し疲労しているエイムに寄り添い、共にミッツ教団の教会へと向かっていた。
「大丈夫か?エイム」
「はい、大丈夫です。すいません、またご迷惑をおかけして」
「そんなことは思っていない。だから戻ってゆっくり休んでいろ。残りの敵は俺達でなんとかする」
「はい、あ、教会の方に人が集まっていますよ」
エイムがそう言ってギンも教会の方を確認すると住民が集まっていた。
「帝国軍の侵攻で避難しているんだろう。俺達も入ろう」
「はい」
そう言ってギンとエイムは教会に入っていき、聖堂までたどり着く。聖堂には司祭がいて、ギン達に声をかける。
「ギン殿、エイム殿、ご無事でしたか」
司祭の言葉にギンが返答をする。
「はい、なんとか帝国軍を追い払うことができました」
「そうですか、それは良かった。ところでルルーとブライアン殿とは会わなかったのですか?」
「いえ、彼らは別の場所で戦っているかも知れないし、俺ももう1度街中の残存戦力を確認してこようと思っています」
ギンの言葉が耳に入り、ギンのもとに駆け寄る者がいる。
「ギン殿、街中の帝国軍をあなた方が追い払ったんですね」
ギンに声をかけたのはスップの防衛兵団の隊長二フラであった。
「はい、とりあえずさっきの魔導騎士団の奴らは追い払いました」
「そうですか、実はギン殿、あなた達に帝国軍を任せた後にブライアン達に会ったのです」
「ブライアン達に?彼らが今どうしているか、知っているんですか?」
「ブライアンとシスター殿は東の砦の救援に向かうと言ってました」
二フラの話を更に詳しく司祭がギンに対して説明をした。
「この街には陽動で彼らの本命は前回同様、砦のようです。それにしても何故方針を変更したんでしょうか?」
「私がシスター殿達にギン殿達が帝国軍と交戦していると話をしたら。ブライアンもシスター殿も砦に向かうことを決めました。ギン殿達ならあの者達を撃退できると思っての事でしょう」
二フラよりブライアンとルルーが砦に向かった話を聞いたギンは司祭に言葉を告げる。
「そういう事なら俺も砦に向かいます。あと、しばらく彼女をここで休ませてあげてください。魔力を相当消耗したみたいなので」
ギンはエイムの状況を司祭に説明し、エイムを休ませてもらうよう懇願している。そんな時、エイムに駆け寄る者がいた。
「あ、おねえちゃん。帝国の人、やっつけてくれたの?」
「ちょっと、魔術師のおねえさん疲れているんだからあんまり困らしたらだめでしょう!」
エイムに駆け寄ったのは街中で戦闘前にギン達が見かけた少女であり、エイムに声をかけることを母親にたしなめられるが、エイムが母親に言葉を告げる。
「いえ、いいんですよ。私も今仲間たちが戦いに出ているのでお話相手がいると助かります」
「い、いいんですか?」
「はい」
少女はエイムから話す許可がでるとすぐに話しかけてきた。
「それで、もうお外で遊べる?」
「すぐには無理だけどもうすぐ遊べるようになりますよ」
エイムと少女のやり取りを見てギンはエイムに声をかける。
「それじゃあ、俺も行ってくる」
「はい、気を付けてください」
少女はギンの方に顔を向けてギンに声をかけた。
「おにいちゃんも頑張ってね」
「ああ、俺が戻るまでこのおねえちゃんを頼むぞ」
そう言ってギンは教会を飛び出し、東の砦へと向かっていく。