ルルーの言葉を受け、最後まで戦い抜く決意をするプレツ軍の将軍であったが、バンスの猛攻をいかにして止めるかを苦心していた。

「しかし、どうやってバンス将軍を止めるかだな、数で抑えようとすれば砦の守備が手薄になるし、中途半端な数では無駄な犠牲を生むに過ぎん」

　悩む将軍の言葉を聞いてブライアンがある提案をした。

「なら俺がバンスと一騎打ちをするってのはどうですか？」

「何⁉そなたがか？」

「俺がバンスを引き受けている間に包囲部隊からの攻撃に耐えてりゃムルカの旦那やギン達が来るはず。そうなりゃあ勝てるかもしれないが、どうですかね？」

　ブライアンの提案に驚きと戸惑いを覚えたルルーは自身の意見を述べる。

「ちょっと待って、いくらあなたでもバンス将軍を止めるのは骨が折れると思うわ。彼がわざわざ一騎打ちに乗るとは思えないし、あなたが数の前に押しつぶされるだけよ」

「だが、ギンやムルカの旦那がいねえ今奴と立ち会えるのは俺ぐれえしかいねえんだ。俺を囮にするぐらいじゃなきゃ勝てねえぞ」

「ブライアン……分かったわ。でも危なくなったらすぐに砦に戻って、私がいれば治癒魔法で治癒はできるんだから」

「分かった。そんじゃ行ってくるぜ」

　そう言ってブライアンは砦の外に出ていく。

　その様子を見た将軍がルルーに声をかける。

「ずいぶんと彼を信頼しているのだな」

「ええ、彼は本来我々に協力する必要のない者なのですが、それでもここまでしてくれるので感謝しております」

「そうか……」

　将軍は感心しているが次の瞬間ルルーより思わぬ言葉が返ってきた。

「あ、でも彼には言わないでください。すぐに調子乗ると思いますので」

「そ、そうなのか……」

　ルルーと将軍がやりとりをしている中、ブライアンが砦の外に出て大声で叫び出す。

「やいやい帝国軍の野郎ども！この俺が相手をしてやるぜ！命の惜しくない奴はかかってこい！」

　突然のブライアンの大声にバンスは反応を示し、すぐにブライアンの姿を確認し声をかける。

「貴様か今の声は、しかしたった1人か、おもしろい男だな、名は何という」

「俺はブライアンだ、てめえらを今からコテンパンにしてやるぜ」

「我らを？おもしろい皆の者血祭りにあげろ」

　バンスの指示を受け兵士達はブライアンに切りかかるがブライアンが斧を振り一気に切り付けられていった。

　その様子を見たバンスは自らブライアンを討ち果たそうと決意する。

「ほう、ならばわし自らが貴様を血祭りにしてくれるわ」

　そう言ってバンスが手に取ったのはハルバードであった。

　ハルバードは穂先が槍であり、側面に斧状の刃がついた武器である。利便性は高いが扱うのには高度な訓練を必要とするため実戦投入は難しいがバンスは主要な武器としてそれを選んだのである。

「ではいくぞ！」

　ブライアン、バンスの決着の行方は？