目次
ブックマーク
応援する
いいね!
コメント
シェア
通報

更なる援軍

 プレツ軍が守る砦に自ら迫るブロッス帝国軍のバンス将軍を迎え撃つべく、ブライアンは砦を飛び出しバンスに対し一騎打ちを申し出る。


 ブライアン、バンス、力と力のぶつかり合いが今始まろうとしていた。


「では若造よ覚悟せよ!」


 そう言ってバンスは自らのハルバードをブライアンに対して振りかざすがブライアンは大楯で攻撃を受け止める。


 大楯で受け止めブライアンも大斧で反撃を試みるがすぐにバンスは攻撃をかわすことに成功した。


「わしの攻撃を受け止めるとは大したもんだな。だが攻撃が少々荒いな、ただ力に任せるだけではわしには勝てんぞ」

「あいにくこれが俺の戦い方なんでな、それに例え俺だけでは無理でも時間さえかせげりゃあんたを倒せる戦力は揃う」

「それは魔法剣を使う剣士のことか?確かにあの者はフィファーナやカイスをも退けたからな、だが我らが砦を抑えてしまえばそう簡単にはいかんぞ」


 バンスは自らと同格のフィファーナやカイスを退けたギンを警戒しているからこそ。砦を早めに占拠し帝国軍のプレツ攻略の拠点づくりが必要になると判断し、自ら砦への攻撃を開始し、それを阻もうとしているブライアンの排除にかかっているのだ。


 そしてブライアンに更なる魔の手が迫る。


 ブライアンに対しどこからか火と石の魔法が飛んでくる。ブライアンは咄嗟に盾で防ぎ致命傷を避けることに成功した。


「な、何だ?」


 そして先程ブライアンに対し魔法を放った者がバンスに呼びかける。


「バンス将軍!我ら魔導騎士団、プラナ様の命によりこれより砦攻略に助力いたします!」

「助かるぞ、プラナの様子はいかがか?」

「はっ!負傷はしましたが応急手当てを行いこのまま助力へ向かうとのことにございます!」

「何だと⁉完治せずに戦線に復帰するというのか?」


 バンスが驚いているとその場に左腕に包帯を巻いているプラナが現れた。


「バンス将軍!プラナ、これより戦線に復帰いたします」

「待て!左腕を怪我しているではないか」

「剣は握れませんが魔法で援護することはできます、どうか戦線への復帰の許可をお願いいたします!」

「ならぬ!万一お前を失えばカイスやピリカに合わす顔が無い。退いてくれ!」


 退く様子を見せないプラナに対しバンスはあえて厳しい言葉をぶつける。


「……聞けプラナよ、今のお前は我らにとってはかえって足手まといになる。そのような者などこの戦場には必要ない、だから今すぐこの場より立ち去れ」

「バンス将軍……ですぎた真似をして申し訳ございませんでした……」


 そう言ってプラナは戦場を立ち去っていく。その様子を見たブライアンがバンスに問う。


「カイスって野郎に気をつかったのか、自分の部下じゃねえから?」

「そのようなことをお前に説明する必要などない。今は自分の心配をしたらどうだ」


 バンスがそう言うと魔導騎士団の騎士が再び魔法をブライアンに向け放つ。ブライアンは盾で防ぐが更にバンスがハルバードを振りかざす。その攻撃で斧と盾が吹き飛び、ブライアンは無防備に陥り、バンスが攻撃を試みる。


「終わりだな」


 バンスがブライアンに対し攻撃をしかけようとしたその時に何者かより後方から蹴られバンスは吹き飛んで行ってしまう。


「ぐはっ!おのれ、何者だ?」


 バンス、そしてブライアンが目を向けた先にいたのはムルカであった。


 戦局がさらに動く前兆であった。

この作品に、最初のコメントを書いてみませんか?