魔族のブリック、そしてそのブリックの従える魔物とギン達との戦いは激しく入り乱れギンがブリックとの一騎打ちを余儀なくされ、戦いの最中ブライアンが負傷し戦線を離脱する状況に陥っていた。

　そんな時ジエイがシルバーウルフの集団に切り込みに行く。

「覚悟せよ、魔物達」

　そう言ってジエイはシルバーウルフの群れに飛び込み、両手に短剣を1本づつ持ち、シルバーウルフを斬っていく。

　シルバーウルフの反撃もあるが素早い動きでかわし、攻撃を喰らわずにいた。

　隙のできたシルバーウルフにヨナは魔法の弓を放ち矢を命中させ、魔物を眠らせることに成功する。

「やった！やっぱこの弓の力、すごいや！」

「油断してはなりませんヨナ殿！まだ敵は多くいます！」

「分かってるって、それじゃあどんどんいくよ！」

　ジエイが作った魔物の隙をうまく突き、次から次へとヨナは矢を命中させていく。やがてまともに戦闘ができるシルバーウルフはいなくなり残りはスケルトンソルジャーとギンが相手をしているブリックだけだ。

「ルルー殿、浄化を」

「任せて」

　そう言ってルルーは呪文の詠唱を始める。

「我を加護し神ミッツよ、わが信仰と力を糧に我の望みに応えよ。魔に操られ彷徨いし魂を鎮め給へ。魂の鎮みソウルレクイエム！」

　ルルーの手より眩い光がスケルトンソルジャーに放たれ、スケルトンソルジャーの動きは止まり、やがてその場には何の変哲もない骨が存在するのみとなり、その様子を見たルルーが鎮魂の言葉を呟く。

「死してなお、魔物に操られるなんて、痛ましいわ。せめて安らかにお眠りください」

　シルバーウルフ、スケルトンソルジャーがいなくなった様子を見てギンがブリックに声をかける。

「後はお前だけだ覚悟しろ」

「フ、あんな低級魔物を倒しただけで勝った気でいるとは愚かですね」

「愚かなのはお前の方だ、もうお前に勝つ準備は整っている」

「何ですと⁉」

　ギンの言葉を聞いてブリックが目にしたのは既に呪文の詠唱を始めたエイムであった。

「地を司りし者よ、古の盟約に従ひて我の望みに応えよ。地に根差し木々の形を変え、彼の者を切り裂き給へ。木の剣ツリーブレード！」

　エイムが呪文の詠唱を終えると木が刃状となりブリックを斬りに動く。

「フ、そんなものでこの私を斬ろうとは無駄なことです」

　そう言ってブリックは右手で木を防ぐが想像以上に力が強く押されていた。

「何⁉」

　僅かな隙をギンが突き、ブリックを斬りに向かうが、ブリックはかわすがその際に力が抜け右手の爪が折れてしまう。

「しまった！」

　更にギンは魔法で剣を強化しブリックの胸を切り裂く。

「ぐはああ！」

　遂にブリックに決定打を与えたギン、ブリックの命運は？