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魔族との戦い

 ギンの剣がブリックの胸を切り裂き、遂にブリックに決定打を与えることに成功する。


 胸を切り裂かれながらもブリックがギンに対し言葉を放つ。


「ふっふっふっ、油断があったとはいえ、この私に手傷を負わせるとは、あなた方は想像以上の力をお持ちのようですね」

「まだ生きていたか、だがもうお前には俺達に勝ち目はない覚悟しろ!」

「ふっ、あなた方とはもう少し楽しみたいんで今日のところは退きましょう、また会える日を楽しみにしてますよ」


 そう言いながらブリックは黒い霧を自らの周辺に発生させ自らの姿を霧に覆う。


 ギン達も霧の影響で周辺の状況を確認できず、少し時間が立ち霧が晴れるとブリックの姿は見当たらなかった。


「くっ、奴はどこだ?エイム、分かるか?」

「大分遠くに行ってしまったようで方角が南だということしか分かりません。ただ少なくともプレツにいないことだけは確かです」

「何故、一瞬でプレツから離れることができるんだ?」

「多分ですが、転移魔法を使用したかもしれません。でも転移魔法は精霊と契約して使うタイプの魔法ではなく、探知魔法と同じで天と地の妖精に呼びかけ、魔力も多く消費して使用するんですが……」


 エイムの話を聞いて、ルルーが思い出したことを話す。


「それは魔族だから私達の魔法の法則が適用されないんじゃないかな」

「ルルーさん、それってどういうことですか?」

「小さい頃に魔族の話を聞いたことがあって思い出したんだけど、魔族は自らの神より生まれながらに加護を受けているから自らの魔力のみで魔法を使用することができるの」

「じゃあ、私達とは魔法を使う方法自体が違うんですね」


 エイムの疑問にルルーが答え、更なる話をする。


「そうね、それとミッツ教団の祖といえる人々がその昔に聖なる力で1度は魔族の活動の抑止に成功したんだけど……」


 ルルーの話にムルカが入って説明を足す。


「この時代に再び動き出したかも知れんということだな」

「ムルカ様、魔族との戦いとなると各国との協力体制を強化しないと行けませんね。司祭様にご報告して各国への通達をお願いしましょう」


 ルルーの話を聞いてギンが抱いた疑問を投げかける。


「ブロッス帝国には伝えなくていいのか?魔族の活動が本格化してくれば奴らも侵攻どころではないと思うが」

「もちろん私もその必要はあると思うわ。停戦や終戦に向けた動きも視野にいれないとダメだと思うし、ただ帝国との交渉は私達の役割ではないから、そこはプレツの中枢に動いてもらわないと」


 ギン達は魔族との戦いをブロッス帝国との戦いを継続しながらすることは困難であると感じているが、現状ではプレツ中枢に委ねるしかないことも認識しており中々頭の痛い問題だ。


「とりあえず、魔物は追い払ったから村に戻ろう」


 ギンの呼びかけに一同は返事をし、村へと戻っていく。

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