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帰り道で

 自らを魔族と名乗るブリックを追い払うことに成功したギン達は元来た道をたどり、村へと戻ろうとしていた。


 そんな時、ルルーがブライアンに声をかける。


「ブライアン、大丈夫?」

「ああ、ムルカの旦那がが傷口を塞いだおかげで、とりあえずこれ以上悪くなることはないようだ」

「よかった。本当はすぐに治療したいんだけど、浄化魔法に多くの魔力を使って今は治癒魔法を使う程の魔力が残っていないの」


 ルルーの話を聞いたジエイがある提案をする。


「それでは、森にある薬草を集めて村で治療しましょう。私が集めながら皆さんの後を追います」


 ジエイの提案を聞いて、ブライアン、ルルー共にジエイに声を出す。


「それじゃあ、お願いするわ」

「悪いな、頼むぜ」


 ブライアン、ルルーの言葉を聞いて、ジエイは返答をする。


「では」


 そう言ってジエイは森の探索に向かった。


 ジエイが森の探索に向かったのを確認してムルカがブライアンとルルーに声をかける。


「それでは、我々は先に戻ろう」

「はい」

「おう」


 ブライアンとルルーがムルカの呼びかけに応じ、歩き始めると、続けて後方にいるギン達も歩き始める。


 そんな時、ギンが怪訝そうな表情をしていたのでエイムが声をかけた。


「ギンさん、どうしたんですか?疲れましたか?」

「疲れもあるが、今回の戦いで懸念することがある」

「魔族が動き出したことですか?」

「問題は帝国の動きだ、ルルーはああ言ったが、魔法剣の伝承を俺達より先に気付いたかもしれない帝国が魔族の動きを知らないとは俺には思えない」


 そう言ってギンは更に言葉を続ける。


「俺自身としては帝国から魔族についてどう思っているのかが知りたいが、難しいだろうな」

「そうですね、私達が帝国の人と会えば必ず戦いになりますからね」

「もう1つ、奴を、ブリックを仕留めそこなったことだ。アルにああ言った手前申し訳なく思うし、今後奴がどこでどのように動くかも心配だな」

「確かにあの魔物がまた何をするかは私も心配ですが、アル君はギンさんが話してくれれば分かってくれると思いますよ」


 突然のエイムの言葉に疑問を抱いたギンが思わず尋ねた。


「何故そう思う?」

「ここに来る前にアル君のお母さんから聞いたんですけど、ギンさんと話してからアル君に元気が戻ったって言ってました。アル君はきっとギンさんからちゃんと話が聞ければ分かってくれるかなと私が勝手に思っているんだけなんですけど」


 段々と自身の言葉に自信をなくしていくエイムに対しギンが言葉をかける。


「お前の言う通りかも知れないし、例えそうじゃなかったとしても俺はあいつにしっかりと話さなくてはならないだろう。だからお前が気にすることじゃない」


 ギンはそう言ってありのままをアルに話すことをエイムに告げた。

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