ミックサック団の護衛依頼を引き受けたルルーとミニルは先程ミックサック団が公演をしていた広場まで戻り、その場でムルカが待っていたのでルルーが声をかける。
「ムルカ様、ただいま戻りました」
「ルルー、ミニル殿、話はうまくいったのか?」
ムルカはミニルがミックサック団をニリの街に招待する交渉の結果を尋ねたがルルーからの返答は意外なものだった。
「その事ですが、少々事情が変わりました」
「何だ?」
「はい、実は……」
ルルーはムルカに対し、ミックサック団が護衛の依頼をした傭兵に金を持ち逃げ去れ途方に暮れていたところにルルーが自分達が護衛をすることを申し出たことを話した。
「申し訳ありません、ムルカ様やみんなの意見を聞かずに出過ぎた真似をしてしまい」
「いや、今の時勢で芝居の一団だけで街から街への移動は危険が伴うであろう。貴殿の判断は正しかったと思う」
「ありがとうございます、ミックサック団は明日にこの街を出るそうなので、我々もそれに合わせるべきだと思うのですが」
「無論だ」
ルルーとムルカがやり取りをしている中ミニルがムルカに対し声をかける。
「あのムルカ様、兄やギンさん達はどちらに行かれたんでしょうか?」
「ウィル殿やギン殿達は市に行くと言っておったな。ヨナ殿の様子も見に行くと言っておった」
ムルカの言葉を聞き、ルルーが提案をする。
「じゃあ、私達も参りましょう」
「うむ、では行こう」
そう言ってルルー達もギン達を追うように市へと向かう。
市に行ってみると大変盛んであり、人も多くギン達を探すのに苦労しそうだ。
人混みを掻き分けるように歩いていくとルルーが見覚えのある人物に声をかける。
「ブライアン!ブライアン!私よ、ルルーよ」
ルルーの声が聞こえ、ブライアンも声のした方向を向く。
「ルルー⁉ムルカの旦那とミニルもいるのか」
ブライアンの声を聞いて、近くにいたギンも反応を示す。
「ルルー達も来ているのか?少し落ち着いた場所に出よう」
ギンがそう言うと、話しやすい場所に一同は集結し、まずギンがルルーとミニルに尋ねる。
「それで話はうまくいったのか?」
「少し事情が変わったの、実は……」
ルルーは先程ムルカに説明したミックサック団の護衛の件をギン達にも説明した。
「……というわけなんだけどどうかな?」
ルルーの改めての問いかけにギンが返答をする。
「その状況を見過ごすわけにはいかないだろう。俺は構わないが、みんなはどうだ?」
「もちろんです」
「俺もそうすべきだと思うぜ」
「俺も俺も」
一同の意見がまとまり、ギンがルルーに言葉をかける。
「ジエイもヨナも反対はしないだろうし、それで話を進めよう」
「ええ、分かったわ」
一同はミックサック団をラックの街まで護衛することを決めたのである。