ミックサック団にいよいよ会うかという時に、謎の声が聞こえ、ルルー達は驚くが、声の主はもう1人に対して話を続ける。
「わしらミックサック団の護衛の為の傭兵がこないだと⁉どういうことだ?」
「団長、その傭兵達がとんだ食わせ者で、ギルドの紹介だから私も信じたんですが……」
「もういい!お前なんぞに交渉を任したわしがバカだった!」
この男はミックサック団の団長で傭兵の護衛依頼を団員の男に任せていたようだがトラブルがあったようだ。
「よりにもよって金だけ持ち逃げされるとはなんと間抜けな!」
「すいません、何とか別の傭兵に護衛を依頼……」
「もう遅いわ!明日には出発せんと次のラックの街での公演に間にあわんし、何より王都での公演は今のわしらにとっては重要なんだぞ」
団長と団員の男の話を近くで聞いているルルーとミニルが小声で話を聞いている。
「何か困っているようですね」
「傭兵にお金だけだまし取られたようね」
「このままじゃ、あの人達が安全な旅ができませんよ」
「ミニル、私に考えがあるわ。ちょっと付き合って」
そう言ってルルーはミニルと共に団長たちに接近し話しかける。
「いきなりで申し訳ありません、少しよろしいでしょうか?」
突然のルルー達の登場に戸惑うが団長はすぐに返答をする。
「何だ?お嬢さん方、入団希望ならまた今度にしてくれ、今のわしらはそれどころではないんだ」
「入団希望ではございません、申し遅れました、
「プレツのシスター様が、何故わざわざこの国に?」
「他国の文化を学んで見聞を広める為にございます」
一般市民に同盟交渉の話をすると、外交問題のリスクの発生を考慮し、ルルーはもっともらしい言い回しをしたのである。
「それで、わしらに何の用だ?」
「失礼ながら、先程のあなた方の会話が聞こえましたので、我々の方で助力させてもらえないかと思ったのです」
「助力?」
「はい、我々も護衛の者を雇っておりますので、我々と共にラックの街まで参りませんか?」
ルルーの提案に対し、疑問が生まれた団長が質問をする。
「そうしてもらえるのはありがたいが、依頼料はどれほど必要なんだ?」
「報酬は受け取りません、その代わりといってはなんですが、彼女の話を聞いてもらえないでしょうか?」
ルルーはミニルの話を聞くよう団長に懇願し、ミニルが自らあの交渉をする。
「初めまして、私はプレツで観光案内の仕事をしているミニルと申します。私はミックサック団の方々にプレツのニリの街に来ていただき、講演をしてもらいたいのですが、もちろん予定等の調整はさせていただきます」
「プレツでか、ブロッス帝国と戦争中のようだし、その状態を脱することができて初めて考えることにはなるが覚えておこう」
「ありがとうございます!お待ちしております」
「まずは護衛をしっかり果たしてくれ。明日の朝、広場で待つ。それでいいか?」
団長は護衛をルルー達に委ねることとし、出発時間を指定しルルーが返答をする。
「はい、承知しました」
ミックサック団の護衛をすることとなったルルー達はギン達のもとへと戻っていく。