ギンは、エイムがコッポの魔術師の村に住む両親が実の両親ではないことをブライアン達に打ち明け、更に当時ボース軍が近くの街を襲撃していたことから、エイムの育ての父であるトールからボース関係者の子かも知れないという話をされていたことも打ち明け、その話を聞いた一同は動揺が隠せないようだ。
第一声をまずブライアンが放った。
「マジかよ……」
ブライアンの声を聞いてからルルーも言葉を漏らす。
「私達がエイムの家に泊まった日にそんな話が……」
ブライアンとルルーの発言を受け、ギンは一同に謝罪をする。
「すまなかった。エイムに話してからみんなにも話そうと思ったんだが……」
ギンの言葉を聞いて噛みしめるようにルルーが言葉を放つ。
「ギン、あなたもエイムのお父さんから打ち明けられて話すタイミングがつかめなくて辛かったと思うわ。でもきっとエイムはこの事を帝国軍から知らされるかもしれない、そう思うと……」
「俺のせいでエイムはもっと辛い思いをする……、そういうことだな」
「えっ⁉そ、それは……」
ルルーは自身の発言がかえってギンを追い詰めたかも知れないと思った。だが適切な言葉が見つからずルルーも動揺を隠せない。
その時にムルカがそれぞれに呼びかける。
「ルルー、少し落ち着かれよ。ギン殿、ルルーは貴殿を悪いとは思ってはおらん」
「ムルカ様……、申し訳ありません」
「構わぬ、ギン殿私からも少し貴殿に聞きたいことがあるが良いか?」
ムルカの問いかけにギンが応じる。
「何でしょうか?」
「エイム殿の父君よりその話を口止めされていたという事はないのか?」
「いえ、そんなことは言っていませんでしたが」
ギンの返答を聞き、ムルカは1つの可能性を話す。
「あくまでも私の推測であり、気休めにもならんかもしれんが、きっとエイム殿の父君はギン殿に話した時点で覚悟していたのではないか」
「覚悟、ですか?」
「エイム殿の出生の秘密を話すかどうかをギン殿に委ねたということだ。いずれエイム殿のことに気付いた帝国からエイム殿を守る力を持ったギン殿にすべてを託す。親としての最大の思いだったのかも知れぬ」
「ですが俺はエイムを守り切れず……」
ギンとムルカの話を聞いてルルーが叫ぶ。
「違うわ!」
「ルルー?」
「さっきも言ったけど、それはあなただけのせいではないわ」
更にルルーは言葉を続ける。
「エイムの事を直接エイムのお父さんから託されたのはあなたかもしれない。でも私達だってエイムやあなたの仲間なんだし、誰かが一方的に守るんじゃなくて、互いに守られながらいろんなことを乗り切って来たでしょう」
ルルーの言葉を聞き、ブライアンもギンに対し言葉を放つ。
「そうだぜ、俺もお前達に助けられて今ここにいるんだ。だから俺達でエイムを助け出そうぜ!」
ルルーやブライアンの言葉を聞き、ギンが返答をする。
「そうだな、すまん、俺の独りよがりにみんなを巻き込んで」
「今さらそれは言いっこなしでしょ」
「急に殊勝になられると気持ち悪いぜ」
託された思いを共有できる者達がいる。だからこそエイムを助け、自らの口で打ち明けることを強く決意するギンであった。