ギンがエイムの出生の秘密の話をブライアンやルルー達にし終え、しばらくするとヨナ、ウィル、ミニルがギン達の元に戻って来た。
「みんな、とりあえず分かった情報を話すよ」
ヨナの発言を聞いて、ジエイがヨナに駆け寄る。
「して、ヨナ殿、帝国軍はどの方向に逃走していったのでしょうか?」
「うん、ウィルとミニルが聞いた話とも照らし合わせるとあいつら街中でばらけながら逃げたらしいんだ」
ヨナの話を聞いて、今度はギンが尋ねる。
「ヨナ、直接エイムを捕縛したのは魔導騎士団のプラナだった。女騎士が魔術師の女の子を連れていたような話はなかったか?」
ギンがヨナに尋ねると、代わってウィルが答える。
「そう言えばそんな話を聞いたぜ、そいつは街の西側から出て行ったようだぜ」
ウィルの話を聞いてジエイが一同に呼びかける。
「皆さん、とりあえず街の西側の出口まで移動しましょう」
ジエイがそう言うと、全員で街の西側の出口まで移動し、出口に到着するとジエイが地面に手を当てる。
その光景を見てブライアンがジエイに質問をする。
「ジエイ、何をやっているんだ?」
「今足跡がはっきりするよう地面に術の為の魔力を通しています」
「足跡って何も見えねぜ」
「これは私の目に映すための術ですから、他の方には見えません」
ブライアンと会話をしながらも、ジエイは魔力を通し、無事終えたようだ。
「とりあえず私がこの足跡を追い、敵の拠点を見つけます。皆さんは後ろから追いかけるように来てください」
追いかけて欲しいと言われるがブライアンは疑問がありぶつける。
「ちょっと待てよ、お前は速いうえに俺達にはその足跡が見えねんだぜ、どうやって追うんだ?」
「私の持つ木の葉をばらまくのでそれを目印にしてください。幸いここは荒野が多いので完璧に目印になるでしょう」
「それなら大丈夫か」
ジエイが出発しようという時にギンがジエイに声をかける。
「ジエイ、頼むぞ」
「お任せを」
そう言ってジエイは帝国の拠点を捜索する為に一足先に出発する。
その光景を見届けてからルルーが一同に呼びかける。
「私達も馬車でジエイを追いましょう」
ルルーの声を聞いてギンが言葉を発する。
「俺とヨナが馬車を取って来る。みんなはここで待っていてくれ」
「お願いね」
ルルーの言葉を受け、ギンとヨナは馬車を馬小屋まで取りに行く。
ギン達が外から回って馬車を他の仲間が待つ出口につけると一同がそれぞれ馬車に乗り込む。
ループの馬車をギンが御し、ブライアンとルルーが乗り込む。ムルカが乗り込まないことに疑問を抱いたルルーが尋ねる。
「ムルカ様、いかがしましたか?」
「今回はエイム殿の救出が目的だ。馬車の出発にも時間差をつけ、私は後詰としてヨナ殿の馬車に乗ろう。ヨナ殿良いか?」
ムルカの問いにヨナが答える。
「そうだね、街にも傭兵団の奴らを念の為残していこうと思っていたし、いいと思うよ」
「決まりだな、ではルルー、ギン殿達と先に向かってくれ」
ムルカの呼びかけにルルーが応じる。
「分かりました、それでは先に行って参ります」
ルルーがそう言うとギンは馬車を先行させ出発する。
馬車の中でブライアンとルルーが会話をしている。
「戦力を小出しにして大丈夫なのか?」
「エイムを救出する為には、敵を逃がさないことが重要よ。一度に全員で行ってとり逃がしてしまえば、救出は難しくなるわ」
「敵を倒すよりもエイムを助ける方が難しいってわけだな」
「でも、エイムを帝国に連れていかれるわけにはいかないわ」
2人の会話を聞いてギンが口を挟む。
「その通りだ。例えエイムの本当の親がボースの者だとしても、エイムを帝国に渡してはいけない」
エイムを助ける。その為にギンは仲間と共に馬車を走らせる。