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持っていく思い

 プラナが民間船に乗り、プレツへと行った様子を見届けたギン達は、自分達が乗ってきた船に乗り、帝国へ向けての出港を開始する。


 全員が船に乗り込み、船が動き出してから港から離れて沖の方に出た頃、ウィルが一同に声をかける。


「とりあえず、海が荒れるようなことはないようだ。この調子なら帝国にはすぐに着くし、上手くいけば逃走中の魔導騎士団にも追撃ができるはずだ」


 ウィルは魔導騎士団の逃走スピード次第では追い付けるはずと踏んでおり、追撃が可能と考えているが、その意見に対しジエイが別の意見を述べる。


「ウィル殿、あなたがそう言うなら航海は問題ないでしょう。ですが我らはこれより敵地に乗り込むのです。どのような罠があるか分かりません」

「それは俺も分かってるよ。だが逃走中の敵には一番ダメージを与えやすいぜ」

「常道ならばそうですが、前線ではほとんど戦力を削れずにいましたから、魔導騎士団はまだ十分な戦力を残しているので簡単にはいかないでしょう」


 ジエイとウィルがやり取りをしている中、ギンはプラナより預かった袋からプラナの剣を取り出している。


 剣を取り出したギンにエイムが声をかけている。


「ギンさん、それってプラナさんの剣ですよね、どうしたんですか?」

「これを戦いに持って行こうと思っている。戦いに使うのは俺の剣だが、せめてプラナの思いも一緒に持っていきたいと思ってな」

「そうなんですか、でも剣のような武器だと思いが乱雑して私の魔法でも思いを読み取り、伝えるのは難しいんです」

「その必要はない。俺とプラナ、2人の思いをあいつに、カイスにぶつける。それが一番効果があると思っている」


 ギンの強い言葉にエイムは胸を強く打たれ、言葉を発する。


「そうですよね、ギンさんとプラナさん、お2人の強い思いをあの人にぶつける。それがいいですよ。私達はギンさんがあの人と話しやすいようにお手伝いします」

「頼むぞ、エイム」

「はい」


 ギンとエイムがやり取りをしている中、双眼鏡で周囲を見ていたウィルより一同に声がかけられる。


「みんな、もうすぐ帝国だ、だがちょっと変なんだ」


 ウィルの変という言葉にギンが反応し、尋ねる。


「変というのは?」

「あそこ、軍港と思うんだけどよ、何か慌ただしいんだ。何かあったのか?」


 ウィルの言葉にムルカが反応し、自らの意見を述べる。


「魔導騎士団が帰還したので、軍港を開き、再度軍港の機能を取り戻すのに慌ただしいのだろう」

「ってことは」

「うむ、既に魔導騎士団は帰還をしており、現在は帝都に向かっておるということやもしれん」


 ムルカの言葉を聞き、ギンが言葉を発する。


「それなら、俺達も帝都に向かおう」


 遂に帝国へ入国し、このまま一気に帝都へ向かうギン達。果たして戦いの行方は?

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