トッポックス領主の屋敷の正面に立ったヨナ達は、ウィルの前口上で自分達の大義名分を掲げ、屋敷を奪還すると宣言する。
屋敷にいる騎士の1人は兵にウィルに対し攻撃するよう命令を下す。
「ええい、奴に弓を放て!賊共をこの屋敷に立ち入らせるな!」
「はっ!」
そう言って兵士達はウィルに対し弓を放つが、ウィルの出した水の短剣によって全てウィルには届かずに落ちる。
「何だあの妙な武器は⁉」
騎士や兵士が驚いている中、ヨナとミニルがウィルの短剣について言及している。
「ジエイに事前に水の術を使ってもらって短剣を作っておいて正解だったね」
「ええ、兄さんの短剣は一定量の水がないと作れないから、陸じゃ、ルルー様やエイムの魔法が頼みだけど、ジエイさんがいて助かったわ」
「そうだね」
「さ、兄さん達が敵を引き付けている隙に私達は屋敷に入りましょう」
ミニルがそう言うと、傭兵の1人がヨナ達に声をかける。
「俺達が姉御を守りますぜ」
「頼むよ、それじゃあ行こうミニル」
「ええ」
ウィル達と兵士達の乱戦の隙をくぐり抜け、ヨナ、ミニル、数名の傭兵は屋敷への侵入に成功する。
それに気付いた兵士が騎士に報告をする。
「大変です、先程の男が言っていたヨナという娘とおぼしき女が2人屋敷に侵入しました」
「何だと⁉中の者にも知らせよ、奴らを逃がすな!」
「はっ!」
騎士の命令で兵士は屋敷内の兵及び、代官たちにも報告へと向かった。
屋敷内の騒ぎが大きくなり、不安を感じた代官は部下に現状を尋ねていた。
「おい、今何がどうなっているんだ?」
「はい、どうやら賊はトッポックス領主の娘と名乗る女を擁立し、我らを排除しようとしているようです」
「娘⁉確か奴には息子はいたが、娘などおらんかったはずだ!」
「我らを排除する口実に適当な娘を用意しただけでしょう、まったく卑劣な奴らです」
部下がそう言うと、どこからともなく声が響く。
「卑劣なのはあんた達だろう」
代官と部下が声のした方を向くとそこにいたのはヨナとミニルと傭兵達であった。
「な、何だお前達は⁉」
「あたしか、あたしはトッポックス領主ダリルの娘のヨナだよ、卑劣なやり方で父を貶めたあんたらから屋敷を取り返しに来たんだよ」
「待て、もしやお前、賊に雇われたのでは?いくらだ、わしがそれ以上の報酬を出すから……」
「逆だよあたしがあいつらを私兵として雇ったんだ、あんたらから屋敷を取り返すためにね」
ついに代官を追い詰めたヨナ達、このまま捕縛することはできるのか?