グラッスの王宮で国王と側近が方針について話している中、いよいよヨナ達が王宮の城下町付近まで接近していた。
「あれは城下町じゃないのか」
「そうね、突破となるとあそこを通らなくちゃならないわね」
ウィルとミニルが城下町について話しているとジエイが2人に声をかける。
「とりあえず私が城に侵入し、騒ぎをおこします。そうすれば城下町にいる兵も城内に戻るでしょう、ヨナ殿達はその隙を突いてください」
「混乱に乗じて城内に突入するわけだ、でもさ城内に兵が増えるとあたし達が玉座の間に行くまでに見つからないかな?」
「ヨナ殿、ここまでくればもはや退けません。あとはあなたの覚悟次第です」
「覚悟か……あの時ギンにあんなえらそうなことを言って、自分のこととなるとなんか、すごく怖かったよ」
ヨナは思いはあっても自身になかなか踏ん切りがつかないでいたことを打ち明けると共に、自身の決意も話した。
「でもさ、ここまでみんなが後押ししてくれたんだ。グラッスは帝国と戦争なんてさせないし、父さんとフランツは取り戻す」
「ようやく、いつものお前らしくなってきたな、やっぱ強気じゃねえとお前らしくないぞ」
「ウィル、それ褒めてんの?」
「当たり前だろ、お前にとっては一番の誉め言葉だぞ」
ウィルの発言に一瞬の間ができ、ミニルが思わずウィルに対し苦言を呈す。
「あのね、兄さん。ヨナだって女の子なんだからさもう少しまともな褒め方があるんじゃないの、これじゃあモテるわけないわね」
「また関係ねえこと言ったなお前、いい加減にしろよ!」
「いい加減にするのは兄さんよ!」
ウィルとミニルが兄妹ゲンカを始めるが、いつもならあきれているヨナだが、ヨナが示した反応は意外なものだった。
「ふっ、ふふふ、アハハハハ!」
ヨナの大笑いの声を聞いてウィルとミニルが戸惑いながらヨナの方を見る。
「ヨ、ヨナ?」
「どうしたの?」
「あ、ごめん、いつもはまたやってるって感じなのに、ここであんたらのそんなやり取りを見たら安心して思わず笑っちゃったよ」
ウィルとミニルの兄妹ゲンカに謎の安心感を感じ、思わずヨナは大笑いし、体も心も軽くなっていた。
そんな様子を見てジエイが一言告げる。
「どうやら、もう安心のようですね、それじゃあ作戦開始といきましょう」
「頼むよ、ジエイ」
「では、お任せを」
仲間の後押しと励まし(?)のおかげでヨナの心は軽くなり、作戦決行へと強く進む。