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意志の統一

 帝国の入国方法としてフィファーナの船に荷物として紛れ込む作戦をジエイが提案し、それを聞いたギンが一同に対し自らが決断したことを告げようとするが、その前にギンは一同に尋ねていた。


「まずみんなに聞きたいのは、もしあの時魔物の襲撃でギガスが死ななかったら今頃帝国はどうなっていたと思うかだ」


 唐突なギンの質問にまずウィルが返答をする。


「そりゃあ帝国自体の戦力も維持されて、今もプレツや他の国との休戦状態、いやもしかしたら対魔族同盟が結ばれていたかもしれねえな」


 ウィルの発言に続いて、ヨナも発言をする。


「それだけじゃないよ、帝国の領主はギガスに逆らってまでグラッスに通じるとは思えないし、グラッスの状況も違っていたはずだよ」


 ヨナの発言を聞いてブライアンが質問の真意をギンに尋ねる。


「一体なんで今更そんな話をするんだ?そもそもこれからの俺達の行動となんか関係あるのか?」

「不意を突かれたとはいえ、あの時やはりギガスが魔族により命を落としたのは俺達にも少なからず責任はあると思う」


 ギンの発言に対しプラナが反応をし、ギンに対し言葉を発する。


「兄さん!前も言ったけど、陛下がお亡くなりになったのは兄さん達のせいじゃないわ。魔族共の卑劣さが陛下を死に追いやったのよ」

「プラナ、問題はそこではなく、おそらくカイスも俺達と同じ、いやそれ以上にギガスの死に責任を感じているはずだ」

「兄さん、カイス様があえて皇帝即位を受け入れたのって、まさか……」

「あくまで推測でしかないが、ギガスの死により帝国は混乱し、グラッスに通じた者まで出たことにカイスが責任を感じることはさほど無理がない。それで自らの政治力が低く、領主達の傀儡になる事も承知の上でな」


 ギンの発言を聞いたフィファーナがギンの発言に対し、私見を述べる。


「確かにあのカイスならそう考えかねん、カイスの心情を知るエンビデスやトーラスも従わざるをえんじゃろう」

「だからこそ俺達でカイスに訴えるんだ。お前だけで帝国や世界を背負う必要はないと、俺達も少しづつではあるがお前の重荷を背負ってやると」


 ギンの発した言葉にウィルが返答をする。


「だけどもしカイスが俺達の話に聞く耳を持たなかったらどうするんだ?」

「その時はジエイの言うようにカイスを討つしかない、それをするのもまた俺達の役割だと思う」

「……なんかそこまで言われちゃ反対しづれえな、いいぜ帝国へ行こうぜ!」

「みんなはどうだ?」


 ギンの質問にウィル以外の仲間が返答する。


「私はギンさんの考えに賛成です」

「俺もだ」

「私達にも帝国分裂の責任があるならやらなくちゃだめね」

「ギン殿、その事はトーラス殿やエンビデス殿にも訴えるぞ」

「無論です」

「カイスをほっといたらまた戦争の日々だしあたしもやるよ」

「私は元々カイスさんには話すべきだと思ってましたから」


 一同の意思が統一され帝国へと再度向かう決意をする。

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