ギン達は全員が帝国に向かい、カイスを説得すると意思を統一する。そしてその統一した意思をギンはフィファーナに伝える。

「フィファーナ、俺達は帝国に向かいカイスを説得することに決めた」

「やはり、そち達ならそうすると思ったぞ。ならばわらわは領主達を集めて再度の休戦案を出してみよう」

「すまない頼んだぞ」

「では早速ではあるが我々の船に乗ってもらおう、東の波止場に部下に停泊させるように命じておるからな向かおうぞ」

　フィファーナの提案に対してルルーが制止の言葉を放つ。

「お待ちください、まず我々は司祭様に報告して我々の動きを知ってもらう必要があります」

「おお、そうか。しかしただ待つのもなあ……」

　フィファーナが船でただ待つことに対して不安の声をもらすと、ウィルがフィファーナに対してある提案をする。

「それならさ、ニリに船を移動させてくれるか？」

「ニリにか、何故じゃ？」

「ニリには俺んちの船があって、その船の船員に事情を話して頃合いをみて俺達を迎えに来れるようにしたいんだ。あんたらの船にはニリから乗るよ」

「良かろう、ニリに船を移動させておくぞ」

　ウィルの提案にフィファーナが了承すると次の瞬間プラナがギンに対して声をかける。

「兄さん達は帝国に行くのね」

「ああ、さすがにカイスを放っておくわけにはいかないからな」

「あの、私も連れて行って欲しいの」

「何だって⁉」

　プラナの懇願にギンは驚きを隠せないが、プラナは話を続ける。

「カイス様の苦しみは私の想像以上に感じたわ、それなのにカイス様の為に何もできないなんてこれ以上耐えられないわ」

「プラナ、お前がカイスの為に何かしたいのは分かる。だが帝国にとってはお前は離反者であり、もしかしたら俺達以上に帝国側の人間から憎まれているかもしれない」

「それでも、このまま何もできないなんてそっちの方が辛いわ。お願い兄さん、私にも兄さん達を手伝わせて」

　プラナの強い懇願を叶えてあげたいとは思いながらも現在の帝国に連れて行くことに抵抗があるギンに対してエイムが声をかける。

「ギンさん、その、プラナさんのお願いを聞いてあげてください」

「エイム！」

「エイムさん……」

「ギンさんのおっしゃることも分かります。でもプラナさんはカイスさんの為に自分ができる事をしたいんです。私達が決してプラナさんに無茶をさせません。だからプラナさんのお願いを聞いてあげてください」

　エイムの言葉を聞いてギンはしばらく考えプラナに対して言葉を放つ。

「プラナ、そこまで言うならお前も行こう。ただし無茶は絶対に許さんぞ」

「ありがとう兄さん、ありがとうございますエイムさん」

「良かったですねプラナさん」

　プラナもギン達と共に帝国に向かうこととなる。自らが慕うカイスを救う為に。