ループ、そしてゲンジが引く馬車に乗ってギン達は港町ニリを目指していた。
そんな中、ゲンジの引く馬車の中でブライアンが一同に話をしていた。
「こうやってまた帝国に行く事になるとは思わなかったが、カイスの野郎には少しばかり痛い目にあって俺達の話を聞いてもらわねえとな」
「しかしブライアン殿、カイス殿の所までたどり着くまで様々な妨害があるでしょうし、事はそう単純ではないかと思います」
「そんな事は俺だって分かっているけどよ、やると決めた以上もう後には退けねえだろ」
ブライアンがそう言うとミニルが言葉を発する。
「心配なのはプラナさんの精神状態です。失敗したらカイスさんと戦い、最悪……」
ミニルがカイスの命を奪う事もありうると言おうとするとヨナが先んじて話す。
「プラナにそうさせない為にあたし達がいるんじゃないか、それにプラナの存在はもしかしたらカイスの心を動かす可能性だってあるんだよ」
「それって、カイスさんもプラナさんを好きっていう話の事よね、確かにカイスさんもプラナさんと戦う事は望んでいないだろうけど」
ヨナとミニルのやり取りにジエイが口を挟む。
「しかし、今のカイス殿は帝国の指導者です、再度の戦端を開くことも本意ではないなら、プラナ殿の命を奪う事も帝国の為とやむなくすることもありえます」
「そんな事したらカイスさんはますます考えが戦いに傾倒するし、ギンさんだってさすがに許しはしないんじゃ!」
ジエイの発言に反応するミニルの言葉を聞いて、ヨナはまた違う考えを示す。
「あたしは違うと思う」
「ヨナ?」
「ヨナ殿?」
「あれだけ帝国やギガスに忠誠を誓っていたカイスが離反者であるはずのプラナを見逃したから、プラナは、プラナだけは殺さないと思う」
ヨナの発言を聞いて、ジエイが返答をする。
「しかし、プラナ殿の存在だけで説得が上手くいくとは限らないのでは」
「だからきっともしあいつが説得に応じられなければ、きっと自分を殺させるよ。あいつはクソが付くほどの真面目な奴だから、そんな風に考えてもおかしくないよ」
「それじゃあ、プラナさんを連れて行くのは辛い結果しか呼ばないんじゃ!」
「プラナはあたし達以上にカイスを知っている。それを承知でついて来たんだ。だから説得は成功さないと、もしダメでもプラナやギンにカイスを殺させない、それがあたし達にできることだよ」
それぞれの思いを抱えながら数日を経て、2台の馬車は港町ニリへと到着する。