ループ、ゲンジ、それぞれの馬が引いた馬車を御しギン達はニリの港町までたどり着いていた。
そして現在ギン達はニリにある馬小屋に2頭を預けており、ルルーが馬小屋の管理人に話をしていた。
「それではお願いします」
「はい、2頭は責任を持ってお預かりします」
そう言って管理人が別の客の対応に戻るとエイムがループに声をかけている。
「それじゃあ、ループ、ゲンジ、私達行ってくるからいい子でいてくださいよ」
「ゲンジはわりとやんちゃなところもあるけどループなら大丈夫じゃない」
「だからループにもしっかりゲンジを見てもらわないとですよ」
「ははは、エイムは本当に2頭が好きだね」
エイムとヨナのやり取りを聞いて、ギンがルルーに声をかける。
「今回の船旅はフィファーナ将軍の船を使う上、帝国内の馬車での移動は目立つから預けておくというのはいい判断だな」
「ええ、万一私達がニリに戻れない時の為にループとゲンジを拾うのをミッツ教徒にお願いしているから2頭の心配はいらないわ」
「こいつらとの今生の別れにならないようにしないとな」
「そうね、ウィル、フィファーナ将軍の船を探す前にリンドさんに事情の説明に行きましょう」
ルルーの呼びかけにウィルが返答をする。
「はい、多分今の時間なら船の整備をしていると思うんでドックまで案内しますよ」
「そうね、じゃあみんな私とウィルでリンドさんのいるドックに行ってくるから」
そう言って、ルルーとウィルはリンドが船の整備をしているドックまで徒歩で向かって行き、それを見たブライアンがミニルに声をかける。
「そういやミニルはいいのか?親父さんだってドックにはいるんじゃないのか?」
「いいえ、父は荷物の確認や依頼人との交渉が主な仕事なので船にはあんまり関わらないんです」
「じゃあウィルはわざわざ親父さんを避けて行ったってのか?何考えてんだ」
「兄はいい加減ですけど、自分なりの意地があって、きっとまだ父さんとの再会は早いって勝手に思ってそうです。全く、変なところ意地っ張りなんだから」
ミニルの話を聞いてブライアンが言葉を発する。
「俺も立派な兵士になるって言って故郷の村を出てスップまで行ったはいいが、兵士はクビ同然だし、顔を合わしづれえあいつの気持ちは分かるな」
「今のブライアンさんも立派だとは思いますし、ご両親が知ったら喜びますよ」
「そうか……」
「それに父にも私達の事は伝わっているはずだし、内心兄の事は認めていると私は思います」
近くで兄と共に戦ったからこそ分かる事がある。それをミニルは改めて実感するのであった。